ナフサ不足で自動車用樹脂・合成ゴムの調達に懸念 価格高騰も避けられず 米国・イスラエルによるイラン攻撃で

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  • 2026年3月10日 05:00

米国、イスラエルによるイランに対する攻撃の影響で、自動車などに使用されているプラスチックや合成ゴムなどの原料が不足する懸念が高まっている。日本の石油化学メーカーは、原油のほか、プラスチックなどの基礎原料であるナフサ(粗製ガソリン)を主に中東から調達している。中東情勢の悪化で安定的な調達が見通せなくなっており、ナフサからプラスチックなどの原料を作るエチレン製造設備を減産する動きも表面化している。また、原油やナフサ価格の高騰により、プラスチックや合成ゴムなどの価格上昇は避けられず、自動車、部品各社は対応を迫られる。

三菱ケミカルは、原料が枯渇して生産停止となることを避けるため、茨城事業所(茨城県神栖市)でのエチレン製造設備の減産を始めたことを明らかにした。出光興産は徳山事業所(山口県周南市)と千葉事業所(千葉県市原市)にエチレン製造設備を持つが、樹脂メーカーなどの取引先に対してナフサの調達停止が長期間に及んだ場合、同設備を停止する可能性があることを通知した。

市原工場(千葉県市原市)と大阪工場(大阪府高石市)にエチレン製造設備を持つ三井化学は現在、ナフサの調達状況や在庫について「確認中」で、同時に「中東以外からのナフサの調達を増やすことを検討している」ことを明らかにした。

ポリエチレンやポリプロピレンといったプラスチックの原料であるエチレンやプロピレン、合成ゴムの原料となるブタジエンなどは、エチレン製造設備でナフサを熱分解するなどして製造される。国内にはエチレン製造設備が12基あるが、輸入ナフサの多くはアラブ首長国連邦(UAE)やクウェート、カタールなどから輸入しており、7割以上を中東に依存している。

イラン軍がホルムズ海峡を事実上封鎖していることからタンカーなどが動けない状況が続いている。今後、国内でナフサ不足によりエチレンやプロピレンなどが製造できなくなると、自動車向けのプラスチックや合成ゴムなどの調達に大きな支障が及ぶ可能性がある。

調達とともに価格高騰のリスクも高まっている。輸入ナフサ価格は足元で、攻撃開始前の1.5倍以上に高騰している。プラスチックや合成ゴムなどの価格は、ナフサに連動した動きとなる。自動車各社の利益に影響を及ぼしそうだ。

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