ルノー・ジャポンが「カングー」や「キャプチャー」の限定車に、オールシーズンタイヤを標準装着している。両車に搭載する駆動力制御「エクステンデッドグリップ」が、夏用タイヤ並みのドライ性能ながら雪道にも対応できるオールシーズンタイヤとの相性が良いという。新車装着タイヤにオールシーズンタイヤを採用することは珍しい。車種ラインアップだけでなく、装備でもルノー・ジャポンが得意とする“ニッチ戦略”を展開する。
エクステンデッドグリップは、雪道やぬかるみなどの滑りやすい路面で駆動力を最適化する機能。両車は前輪駆動(FF)だが、悪路でも安定した走破性を実現することができるという。雪道にも対応するオールシーズンタイヤを装着することで、「エクステンデッドグリップの機能をさらに生かすことができる」(ルノー・ジャポン)と話す。このため「年に数回の降雪があるかどうかの(非降雪)地域なら、スタッドレスタイヤに履き替える必要もない」(同)といい、同機能とオールシーズンタイヤの組み合わせで、これまで四輪駆動を支持していたユーザーの取り込みにつなげたい考えだ。
オールシーズンタイヤは近年、国内タイヤメーカーが製品を投入したことに加え、大谷翔平選手を起用したCM効果もあり、国内市販用タイヤ市場での認知度、販売本数が年々高まりを見せている。とはいえ、新車装着タイヤとしての採用事例はほぼなく、ある国内タイヤメーカー担当者も「SUV用タイヤで多いM+S(マッド&スノー)を除く、いわゆるオールシーズンタイヤでは聞いたことがない」と話す。夏用タイヤに近いドライ性能を持つが、自動車メーカーがタイヤに求める騒音や振動の抑制、燃費といった性能とコストを両立するためには夏用タイヤの方が適すためだ。
それでも、ルノー・ジャポンはあえてオールシーズンタイヤを新車に装着した。
ルノーは、本国のフランスでは小型ハッチバックなど、欧州の“王道”のセグメントで台数を稼ぐブランドだ。一方、日本市場では、商用車ベースのカングーや、高性能モデルの「ルノー・スポール」など、個性的なモデルを積極的に導入して支持を集めるなど、他のインポーターとは一線を画す戦略を得意とする。
一般的に車に求められる燃費性能や静粛性以上に、車両の機能や個性を重視する。今回のオールシーズンタイヤの選択も、ルノー・ジャポンらしい戦略と言えそうだ。




















