「グランカングー」投入で復活なるか? ルノー・ジャポンの販売戦略

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  • 2026年2月9日 05:00

ルノー車の国内販売で、多目的車「カングー」の存在感が再び高まっている。コロナ禍での半導体不足などによる供給制約で、カングーの割合は2022年にゼロまで落ち込んだが25年は34%まで戻した。26年は7人乗りの「グランカングー」を発売したため、さらにウエートが高まりそう。ただ、輸入車市場で見ると、ルノー全体の販売台数は落ち込みが目立っている。カングーの依存度が高まりすぎるとリスクにもなりかねないことから、他車種の拡販も今後の課題となりそうだ。

00年に設立したルノー・ジャポン(大極司社長兼CEO 、横浜市西区)が、カングーの正規販売を始めたのは02年。構成比が30%を超える水準で推移し続け、08年には63%まで達した。10年以降はルノー車全体の販売が拡大していくのに合わせ、割合は落ち着いたものの、30%前後をキープし続けるなど、同社の大黒柱になっていた。20年には過去最高の販売台数を記録していた。

その流れが変わったのは、コロナ禍だった。カングーは22年の全面改良を見越し、21年に従来型の生産を終了。このため、日本向けの供給も減り、国内販売の構成比も21%まで下落した。加えて、翌年は国内でも新型を発売する予定だったが、半導体不足などでメーカーの供給計画が狂ったとみられ、国内には入らずゼロとなった。23年にはようやく入荷したものの供給量が少なく、構成比も16%にとどまっていた。30%台の回復は、そこから2年かかった。

ルノー・ジャポンでは26年、さらなるてこ入れに向けて動き出している。鍵を握るのが、グランカングーだ。定員を7人とし、国内市場で人気のあるミニバンとしての商品力を高めた。もともと、国内ユーザーから要望があったポイントを新型車で満たした。

さらに、国内向けは欧州仕様にはない機能を持たせた。「商用車の要素など、カングーらしさを好む人が多い」(広報)ことから、後部ドアを乗用車に多いハッチ型ではなく、観音開きの「ダブルバックドア」に造り替えた。車体にも特別色を採用した。大極社長も「使い勝手が良く、何にでも使える」と、国内での拡販に期待を示す。

同社が、ここまでカングーに力を入れる背景には、「新たな価値観を日本が生み出している」(広報)との自負があるためだ。その一つが、日本独自のファンイベント「ルノーカングージャンボリー」だ。09年にスタートした取り組みだが、参加者が増え続け、今や全国から、さまざまなカスタムが施された色とりどりの歴代モデルが集まる。ユーザーの交流の場でありながら、同社とユーザーのコミュニケーションにも役立っている。コロナ禍でもオンラインで開催するなど、熱を帯びている。

現在は世界最大級のカングーイベントとして浸透しており、「ルノーも注目している」(同)という。実際、23年のイベントでは本国の軽商用車部門の副社長の意向で、ハッチバックのグランカングーの国内初公開の舞台に選ばれた。

一方、供給面での不安は残る。コロナ禍からは回復したものの、22年に始まったロシアのウクライナ侵攻で、カングーの生産に必要な部品の供給に波がある状態が続いているという。ルノー・ジャポンの広報も「サプライヤーを変えたりしているが、競合他社と部品の取り合いになっている」(広報)としている。

また、どれだけ国内向けを確保できるかも課題だ。グランカングーは、フランスのモーブージュ工場で商用車仕様と同じラインで生産している。ただ、後部ドアや黒色のバンパーに変更するなど独自仕様にするため、国内仕様の生産は手が掛かる。ルノーは世界で、25年に前年比3.2%増の233万6807台を販売しているが、国内は3000台ほど。グループ内でのシェアは約0.1%と極めて低い中で、どれだけ国内向けに能力を振り向けてもらえるかは未知数。それによって、ルノー車の国内販売の回復も左右されそうだ。

(廣石 真子)

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