スズキが二輪車の新規顧客の開拓で、ゲームメーカーのカプコンと連携を推し進める。カプコンが手がける格闘ゲーム「ストリートファイター」とコラボレーションした二輪車を製作したほか、同ゲームを用いたeスポーツ大会の協賛などを通じ、若年層への認知度向上を図る。二輪車業界では、先進国の大型二輪車ユーザー層の高齢化が課題となっている。異業種であるゲーム業界に二輪車の魅力を発信し、将来の顧客づくりにつなげる。
スズキの国内の大型二輪車ユーザーの平均年齢は55歳。スズキに限らず、二輪車業界全体で同様の傾向があり、若年層へのアプローチが先進国での課題となっている。スズキはこれまでも、インフルエンサーに二輪車の魅力を発信してもらうなど、ユーザー層を広げる取り組みはしてきたが、二輪事業本部の寺本雅規さんは「われわれが持っている既存のコミュニケーションチャンネルでは、若年層といった(スズキ商品を知らない)潜在顧客にアプローチできない」と肩を落とす。
こうした課題に悩んでいたところに舞い込んできたのが、カプコンとのコラボだった。もともとは、スズキのIT部門がカプコンとの関係を構築。どの部門がコラボするかは決まっていなかったが「(IT部門の)担当者自身が『二輪車が良いのでは』とひらめいたようだ」(寺本さん)。
スズキがコラボしたのは、格闘ゲームのストリートファイターだ。1987年に発売され、最新作は2023年に発売した「ストリートファイター6」となる。
活動の第1弾として、25年3月に都内で開かれた、ストリートファイターの世界大会「カプコン・カップ11」「ストリートファイターリーグ ワールドチャンピオンシップ2024」に協賛。単に協賛するだけでなく、〝スズキらしさ〟をアピールするため、ストリートファイター6に登場する韓国人女性のキャラクター「ジュリ」をイメージしたデザインの「GSX―8R」を製作し展示した。同キャラクターのモチーフである蜘蛛のデザインや、身に付けるアクセサリーのカラーを取り入れるなど、ゲームやキャラクターの世界観にこだわった。
格闘ゲームは、プレーヤー同士のコミュニティーが密接だという。「面白いことをやっていると、すぐに(SNSで)拡散する」(同)傾向があり、二輪車ユーザーやスズキファンを増やすためにも、その特性を生かしたい狙いがあった。
結果は狙い通りだった。コラボモデルをSNSの「X(エックス)」に投稿すると、通常の投稿では数万回の閲覧数が、300万回を超えた。格闘ゲームファンは、スズキの取り組みに関心を寄せたようだ。寺本さんも「格闘ゲームやeスポーツ業界の、〝伝播力〟は想像以上だ」と驚きを隠せない。
25日に幕張メッセ(千葉市美浜区)で開幕した世界最大規模のゲーム見本市「東京ゲームショウ2025」でも協賛企業としてブースを構え、同モデルを展示。車両にまたがるとジュリのオリジナル音声が流れる体験を提供した。開場間もなく、多くの来場者がまたがり、写真を撮る姿が見られた。
コラボモデルは現時点で、市販化の予定はない。まずは、若年層に向けてスズキや二輪車の認知度を高める。この活動を通じて「四輪車や船外機の事業にも貢献したい」(同)とし、長期的に事業全体でシェアアップにもつなげる考えだ。



















