整備業で増えるAI 独自の見積もりシステム 海外では塗装ロボにも

  • 自動車整備・板金塗装
  • 2026年6月25日 05:00

日常のさまざまな分野で人工知能(AI)の導入が進む中、自動車の整備事業者が使用するシステムや整備機器にも導入事例が増えつつある。海外の板金塗装(BP)事業者では、塗装作業をロボットが担うところもある。人の手に頼る部分が大きい整備作業の課題とされてきた業務効率の向上にAIがどれだけ関われることができるか、注目されている。

千葉県松戸市のセンチュリーオート(石井英幸社長)は4月、BPの担当者が作成した事故車修理の見積もりをAIで確認する独自のシステムを構築した。作成した見積もりのデータと、修理する車両の損傷箇所の写真を分析。見積もりに反映されていない可能性がある項目をリストアップするとともに、その修理費用も提示するものだ。

システム導入の狙いは、担当者に気付きを与え、次回の見積もりに反映させること。的確かつ効率的に見積もりを提示できるようになれば、同社や顧客への利点も大きい。担当した同社の山中勝義アフター事業本部統括マネージャーは、「自社の技術を見積もりに適正に反映させる上でAIの役割は大きい」と話す。

コンサルティングなどを手掛けるAOS総合研究所(西脇実社長、名古屋市中区)は、取引先の整備事業者などに提供している業務システム「SSS(生涯取引支援システム)+(プラス)」に同社独自のAIを組み合わせ、5月から入庫した顧客への提案などに使えるようにした。

このシステムには、顧客ごとに過去のやり取りの内容を含む履歴が記録されている。AIがそれを要約して顧客に提案するリポートを作成。これに基づいて案内や商談を行うことで、例えば車両の代替や自動車保険の切り替えなどの商機につなげている。

一般的になりつつある顧客との通話のやり取りを録音する機能にも、AIが使われている。シンカが行った調査によると、通話の録音データや分析にAIを活用するケースは回答者(1019人)の83.3%に上った。具体的な使い方は「通話の自動要約」が最も多く、通話内容の文字起こしやクレーム、カスタマーハラスメントの判定に活用する事例が続く。

整備作業に欠かせなくなり始めているスキャンツール(外部故障診断機)にも広がる。インターサポート(高松晃貴社長、大阪市中央区)が2025年12月に発売した「GスキャンZⅡシリーズ」は、同社のサポートセンターと連携した「GサポートAI」が目玉の一つだ。検出した故障コードと車両の情報からAIが原因を予測し、類似のケースを含めて整備士にアドバイスする。短時間で判定できるほか、サポートセンターの稼働時間に関係なく使える点が強みとなっている。

中国のワンニューが製造するAI塗装ロボット「ペイント・ゴー」の国内代理店のニジェス(●集勝社長、埼玉県川越市)によると、台湾ではBPでの塗装作業の3割がロボットに置き換わったという。現地も人材不足が深刻で、ディーラーなどではAI塗装ロボットで作業時間の短縮や塗料の使用量の削減などにつなげているという。導入には一定のコストがかかるが、産業機械部の佐々木啓充さんは展示会などで「初期導入費用に納得する人が増えている」としており、国内事業者でも関心を示しているもようだ。

整備業務の全般をAIが担えるのはまだ先になるのは間違いない。しかし、センチュリーオートの石井社長は「AIを使わない手はない」としているほか、AOS総合研究所の西脇社長も「AIを使わないと機会損失につながる」と指摘しており、今後、広まっていくのは確実だ。

整備戦略7月号では特集「AIを頼れる相棒に」を掲載します。

●は、さんずいに「余」。

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