スズキが四輪事業で顧客との接点強化に乗り出した。顧客層が広がる「ジムニー」でオーナー向けイベントを開催するほか、専用アプリも展開し、購入後の体験価値向上へ取り組みを本格化している。軽自動車のイメージが強い中、鈴木俊宏社長は「軽自動車に比べ、登録車の認知は広がっていない」とし、登録車も含めた商品全体でブランド価値を高めたい考え。体験価値の提供がスズキファン定着のカギを握る。
同社は軽自動車を主力とする一方、登録車販売も強化している。「スイフト」や「ジムニーシエラ/ノマド」「クロスビー」「フロンクス」など、軽に比べ個性的なモデルを展開してきた。ラインアップの拡充により、2025年暦年の登録車比率は2割を超えた。
中でも、登録車を含めスズキブランドをけん引しているのがジムニーだ。狩猟などの“プロ向け”をメインターゲットに1970年に投入したが、徐々に乗用用途が拡大。18年に投入した4代目は個性的なデザインが支持され、若者や女性へと顧客層が一気に広がった。鈴木社長も「反響が大きく驚いた。女性も『かわいい』と言って購入してくれる」と話す。
25年4月に発売した5ドア仕様のノマドは使い勝手が向上し、ファミリー層への広がりも見られる。同モデルは1月の発表からわずか4日間で、月販計画(1200台)を大きく上回る約5万台を受注するなど高い人気を集めた。ジムニー効果もあり、登録車販売は18年に前年比16.6%増、25年も2割以上伸長した。
ジムニーは軽と登録車、3ドアと5ドア仕様をそろえ、若年層から女性、ファミリー層まで幅広くカバーする。スズキにとって顧客接点拡大の中核を担うモデルへと成長した。同モデルで獲得した新規顧客の維持・拡大に向け、購入後の体験価値の提供に取り組む。2月にはジムニーオーナー向けアプリ「ジムジャム」を展開。訪れた場所を地図上に登録・共有できる機能を備え、ドライブスポットの発見などを通じて楽しさや魅力を広げる。
3月28日には初のオーナー向けイベントを開催。開発者によるトークステージや専用グッズの販売、オフロード走行体験などを実施した。
石井直己副社長は「(ジムニーなど)個性ある車をブランディングし、それらが集まり、結果的にスズキブランドになっている」と話す。新車販売やサービスに加え、イベントなどを通じて顧客との接点を広げ、ブランド価値の向上とスズキファンの定着を目指す。
(藤原 稔里)



















