スズキが内燃機関の開発を加速している。エンジンの燃費を左右する最大熱効率を現行の40%から50%まで引き上げた次世代エンジンを2030年代前半に投入する。世界的に電気自動車(EV)の普及が鈍化する中、斜陽すると目されていた内燃機関技術が再注目され、中国メーカーが開発に力を入れ始めている。スズキは小型車開発で磨いた「エネルギー極小化」の哲学を強みに内燃機関のさらなる高効率化に挑む。
スズキが23年に「スイフト」に搭載したエンジン「Z12E」は、従来の4気筒から3気筒に変更しロングストローク化することで、最大熱効率40%を実現した。同エンジンは欧州委員会の新環境規制「ユーロ7」への対応を視野に環境性能を高めたが、次世代エンジンでは高速燃焼技術の進化や高圧縮比化、ミラーサイクルの最適化などを組み合わせて、最大熱効率50%を目指す。
エンジンの熱効率を巡っては中国で開発競争が激化している。25年5月に中国・上海で開かれた「上海モーターショー」では比亜迪(BYD)や浙江吉利控股集団(吉利グループ)などが最大熱効率45%超のエンジン技術を披露した。エンジン開発で世界トップの技術を誇る日本メーカーも、中国勢の開発スピードには舌を巻く。
多くの中国メーカーは電動ユニットとの組み合わせを前提に熱効率を引き上げている。日産自動車もハイブリッドシステム「eパワー」向けの発電用エンジンで熱効率50%を目指している。
また、スズキは電動化技術も軽量化、低コスト化、高効率化を進める。電動ユニットの重量は30%減らし、コストも20%は引き下げる。電動ユニットのエネルギー効率は現状の89%から93%まで引き上げ、ハイブリッド車(HV)やEVの「電費」を稼ぐ。
欧米での補助金の打ち切りなどで“普及の壁”に直面するEVに対して、自動車メーカーではHVやガソリン車への回帰が進む。内燃機関でカーボンニュートラル(CN、温室効果ガス排出実質ゼロ)を実現するCN燃料も注目され、スズキの主力市場であるインドではバイオエタノールや牛糞を原料としたバイオガスなどの活用が進む見通しだ。スズキはガソリンでもエタノールでも走るFFV(フレックス・フューエル車)をインドで投入するなど、燃料対応技術の開発も進めている。



















