トヨタ自動車のグローバル販売で、米国市場の強さが際立っている。25年4~12月期の販売台数は前年同期比10.2%増の194万7801台となり、主要地域で唯一2ケタ増を記録した。ハイブリッド車(HV)が特に好調で、同期間の販売台数は約84万4000台。前年実績を15.1%上回った。同期間の営業損益は56億円の赤字となりトランプ関税に伴う影響額は小さくないものの、現地工場での増産に加え日本からの輸出も増やしながら、旺盛な需要に応えている。
■輸出も増やし対応
米国事業を支えているのがHV販売だ。25年4~12月期は米国販売台数の約半数、49.4%をHVが占めた。トヨタブランドではセダン「カムリ」が同25.3%増の24万5834台、大型ミニバン「シエナ」が同32.2%増の7万7917万台と伸長。「RAV4」はモデル末期の影響もあり同12.3%減と前年割れながらも13万1920台を販売した。
レクサスのHVモデルも好調だった。特にSUVが台数を伸ばし「TX」は同168.0%増の8812台、「NX」は同10.9%増の2万2557台、「RX」は同0.5%増の3万2624台だった。
トヨタは同期間の米国を含む北米市場の動向について「高い需要に支えられつつ、とくにHVの販売が好調だった」とコメントした。
旺盛なHV需要に支えられ生産台数も増加した。24年に発生したTXや「グランドハイランダー」のリコールによる生産停止の反動増もあり、25年4~12月期の米国生産は同15.6%増の106万710台を記録した。
■収益は苦戦
米国に対しては、日本からの輸出も増やし力強い需要に対応している。トランプ関税下にありながら25年4~12月期の輸出台数は47万945台となり、前年実績を18.3%上回る結果となった。売れ筋の「RAV4」をはじめ、「4ランナー」「bZ4X」「レクサスGX」の台数が増えているという。
一方、収益面では苦戦が鮮明だ。25年4~12月期の北米の営業損益は56億円の赤字だった。4~9月期に計上した1341億円の赤字幅からは縮小したものの、トランプ関税が大きく影響。販売台数の増加による上振れを打ち消した。通期の関税影響は1兆4500億円を見込んでいる。
■日米関係もにらみ
トヨタは25年11月、米国で今後5年間で最大100億ドル(約1兆5000億円)を追加投資すると発表した。需要増に対応するとともに、今後の日米関係をにらんだ投資強化だ。
100億ドルのうち9億1200万ドル(約1400億円)はHVを生産する5工場に充てる。ブルースプリングス工場(ミシシッピ州)では新たに28年から「カローラ」のHVモデルを生産し、ジョージタウン工場(ケンタッキー州)では27年の稼働予定で4気筒HVエンジン用の加工ラインを導入する。カローラHVを米国で生産するのは初めてで、幅広いHVニーズに応えるため現地生産の強化に乗り出す構えだ。
対日貿易赤字を問題視するトランプ米政権にも配慮し、米国生産車の日本への逆輸入も始める。「カムリ」「ハイランダー」「タンドラ」の3車種について、26年度から順次、日本導入を目指す。台数規模は未定だが、米国生産台数を上積みすることで「より良い日米貿易関係に貢献していく」方針だ。
トヨタはHVを中心にした旺盛な実需に現地生産の強化や輸入で応えつつ、良好な日米関係の構築に寄与するための自動車産業のけん引役としての役割も果たしていくことになる。
■米大統領の政策次第では…
一方、国内に目を向けると衆院選で自民党が圧勝し、高市早苗首相とトランプ米大統領の協力体制が継続することになる。3月には日米首脳会談が予定されているが、トランプ政権は高市政権支持の見返りとして米国投資をより強く求める可能性がある。また、輸出企業の利益を押し上げる超円安状態も、為替介入によって流れが変わる可能性もある。
米国はその市場の大きさから自動車メーカーにとっては“ドル箱”であるものの、追加関税や電気自動車(EV)優遇廃止などトランプ大統領の政策によって目算が狂うことも多々ある。トヨタは米国事業の黒字化に向け、市場変化と政策の変化に目配せしつつ、強みを持つHVを武器にさらなる販売増を目指す必要がある。
(編集委員・水町 友洋)




















