スズキ、大幅改良「クロスビー」 独自キャラでファン増やせ グッズ製作 露出増やし長く愛されるモデルに

 スズキが、大幅に改良した小型車「クロスビー」のファンを増やす新たな取り組みを始めた。同モデルをイメージした独自のキャラクターを制作し、グッズをスズキの電子商取引(EC)サイトでの取り扱いを始めた。日常やアウトドアで使用するアイテムにもクロスビーを溶け込ませることで、ユーザーに愛着を持ってもらう狙い。さまざまな場面でクロスビーの露出を増やしていくことにより、長く愛されるモデルに育てる考えだ。

 今回の改良でクロスビーは、フロントのデザインを大幅に変更した。同社によると、従来の「丸い」印象から、「丸みのある四角」に変更するなどしてSUVの印象を強調したという。加えて、ルーフとバンパーを黒色とした「ブラックスタイル」も用意。従来は〝かわいらしさ〟が目を引いていたため、女性がメインユーザーだったが、〝かっこいい〟印象とすることで男性にも購入の候補に入るような工夫を盛り込んだ。さらに、オリジナルのキャラクターを製作するとともに、広くグッズも展開することで、クロスビーのブランド価値の向上を目指している。

 ただ、キャラクターやグッズを通じ、想定通りにクロスビーの認知を広げていくのは容易ではない。実際、スズキのECサイト「S―モール」でグッズのアイテム数が多く設定されているのは、オフロード車の「ジムニー」や世界で人気の「スイフト」といった、いわばスズキ車の〝代名詞〟的なモデルに限られている。さらに、キャラクターがあるのはこれまで、ジムニー(アイコンはサイ)のみ。これ以外のモデルは、新車発売時に用意したミニカーやキーホルダーのみのグッズ展開にとどまっているのが、実態だ。

 この要因をスズキの担当者は、「ジムニーは日常のアイテムにも(ロゴやキャラクターが)入っていると、顧客がうれしいと感じるモデルになっている」と分析。一方、「クロスビーはそういった要素が足りなかった」と見ている。ファンづくりのために、担当部門にグッズの制作を打診しても、「クロスビーだけではパンチが足りない」と言葉を返されたこともあったという。モデルの特徴を際立たせる大きな改良を行う今回のタイミングは、グッズ戦略においてもチャンスになった。

 そこで、アイコンとなるキャラクターを考案し、ファッション性を高めたグッズとして売り出すことを目指した。改良後の外装や内装、カラーなどを担当したデザイナーらからアイデアを募ったという。雪男などさまざまなモチーフのキャラクターが集まったが、最終的に決まったのはミミズクだった。クロスビーの特徴である丸いヘッドランプを「目」に、丸みのある四角の車両骨格を「体」に見立てた。担当者は「コンパクトにまとまっているところ、愛嬌(あいきょう)がありながらも知的な印象で、『森の賢者』と言われるミミズクがクロスビーらしさを表現できた」と評価する。

 完成したアイテムは、すべて黒に統一した。クロスビーのブラックスタイルに合わせたもので、担当者は「老若男女がかっこよく身に着けられるデザインとした」という。現在はアウトドアで役立つ防水機能があるドライバッグに加え、ポロシャツやキャップ、エコバッグなどを販売している。今後も需要に応じて商品を広げていく計画だ。

 キャラクター展開では、三菱自動車が軽自動車「デリカミニ」で独自キャラクター「デリ丸。」を設定。テレビCMなどに起用しており、同モデルのアイコンとして人気を集めている。クロスビーのミミズクは、現時点でCM活用がないものの、まずはグッズ販売を通じて「クロスビーと言えばミミズク」という印象の定着を狙っている。

(藤原 稔里)

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