三五(水野昭智社長、名古屋市熱田区)は、2040年に向けた長期ビジョンを策定した。グループの連結営業利益率を24年3月期実績の3.6%から40年に7%まで引き上げることを目指す。愛知県みよし市の福田工場に大型プレス機を順次導入するなど、大型で付加価値の高いボディー部品の生産に力を入れる。建設業界向け配管システムや水素関連の新規事業も推進し、40年に新規事業の売上高比率10%を目指す。
17日に福田工場で報道向け説明会を開いた。主要取引先のトヨタ自動車の「マルチパスウェイ戦略」に合わせ、内燃機関部品だけに頼らず全方位で事業を強化する。この一環として、主に排気系部品を手掛けていた同工場に2千㌧の大型プレス機2台を導入し、ルーフサイドインナーやダッシュパネルなどの大型ボディー部品の生産を増やす。さらなるハイテン(高張力鋼板)化に備え、27年には3500㌧のプレス機も稼働させる。また、ボディー部品の組立ラインも設ける。
排気系部品事業では、排ガス規制や車外騒音規制の強化に対応した技術の開発を進める。電気自動車(EV)化の影響を受け生産量の減少などが予測される中、他社との協業や提携も視野に入れていく考えだ。
建設業界向け配管システム「FP35」は、ノーラエンジニアリング(堀田幸兵社長、東京都千代田区)との合弁設立や日本産業規格(JIS)取得など、事業化に向けて取り組みを加速させていく。
ビジョンのスローガンを「ピュアエアー・アンド・モア」とした。「環境の三五」として空気を浄化するなどの価値を提供するほか、新たな価値も提供していくとの思いを込めた。坂田浩己副社長は「EV化の予測は難しく、決め打ちではできない。予測がブレても生き残れる事業展開を考えていく」と語った。