日本損害保険協会の新納啓介会長(あいおいニッセイ同和損害保険社長)は12月21日の定例記者会見で、損保大手4社による法人向け共同保険のカルテル(価格調整)容疑で公正取引委員会の立ち入り検査を19日に受けたことなどについて改めて陳謝した。「顧客、関係者の皆さまにご迷惑とご心配をおかけし、心よりお詫びする」と語った。

価格調整については「当社から持ち掛けたものもあるし、他社からのものもあるし、保険代理店が介在したものもあった」と述べた。19日の公取委の立ち入りも4社に加えて、都内の保険代理店2社が対象となった。そのため損保協の再発防止策については、今後は保険代理店にも共有していくという。

新納会長は、価格調整の具体的な事案については公取委などの調査が続いていることから話せないとしながら、自社の場合の「類型」について説明した。

例えば、営業成績を落としたくないという気持ちから、幹事会社交代や(共同保険の)引き受け割合の変更がないよう他社と価格調整してしまったケースをあげた。また、保険引き受けの見込みがないのに、保険料の見積提出依頼があり、形だけ提出するために、他社に保険料水準を確認してしまったケースもあったという。また、ほかの損保と大きくかけ離れた保険料水準で入札することで、ほかの法人契約において幹事社の交代や引き受け割合の減少などの影響を受けてしまうのではないかと心配して、価格調整に応じた場合もあったという。

1996年の改正保険業法施行による自由化で損保の再編が進み、4社体制になったことでカルテルが多くなったとの指摘については、直接的には関係ないとしながらも「4社体制でお互い連絡しやすくなった面はあるかもしれない」と述べた。