デンソーは、同社初のSiC(炭化ケイ素)パワー半導体を用いたインバーターがトヨタ自動車の電気自動車(EV)、レクサス「RZ」に採用されたと発表した。従来のシリコン(Si)パワー半導体を用いたインバーターと比べ、特定の走行条件下での電力損失を半減以下に抑えることに成功した。

 同社が特許を持つ電界緩和技術を使用した独自の「トレンチMOS」構造を採用し、高耐圧と低オン抵抗を両立させた。発熱による電力損失を減らすことで1チップあたりの出力を高めた。製造工程では、豊田中央研究所と共同開発した高品質化技術なども活用し、結晶の原子配列の乱れにより素子が正常に作動しなくなる結晶の欠陥を半減させている。ブルーイーネクサス社製の電動駆動用ユニット「eアクスル」に組み込んでトヨタに納入する。

 デンソーは、高品質と低損失を実現するSiC技術を「レボシック」と名づけ、ウエハーから素子、パワーカードなどまで総合的な技術開発に取り組んできた。国の「グリーンイノベーション基金」なども活用し、車両の効率的なエネルギーマネジメントに向けて開発を続ける。