環境試験ベンチ
NVH試験ベンチ
ATESTEO製トルク計

 ATESTEOはドイツに本拠地を置く、欧州最大規模のパワートレイン受託試験会社。ドイツに5箇所、中国に2箇所の試験場を持ち、グループ全体で計170室以上のダイナモ試験機を所有する。従来はガソリンエンジン車の駆動系が主な試験対象だったが、現在では電気自動車やハイブリッド車関連の試験が半数以上を占めるようになった。同社では試験に使用する計測器も自社で開発しており、日本でもATESTEOのトルク計は駆動系用試験機に広く採用されている。

 近年では特にEアクスルの試験が増加している。Eアクスルはモータ・インバータ・減速機が一体化した駆動ユニットであり、まだ日本では馴染みが無いが、世界的に需要の急拡大が見込まれており、主に欧州と中国で各自動車メーカとサプライヤによる開発競争が起きている。

 ATESTEOが行う最も多いEアクスルの試験は、恒温恒湿槽と駆動吸収ダイナモ2基を備えた環境試験室で行う、高低温湿度耐久試験である。ドイツの自動車メーカ5社が制定した試験規格LV124の一つだが、中国のGB規格でも同様に要求される試験のため、Eアクスルの開発には不可欠となっている。

 高速低慣性の永久磁石モータ(PMモータ)を備えたグレード1の半無響室での騒音振動試験への需要も増加している。車の電動化は、従来のガソリン車とは異なる新しい種類の騒音を伴うため、インバータ、モータ、変速機の各々から生じる全ての騒音振動解析が不可欠である。

 ATESTEOでは特殊な試験要求にも対応して試験設備を増設するため、トランスミッションを駆動させながら振り回す動的傾斜ベンチや、振動試験機と熱疲労試験機を組み合わせた振動熱疲労試験機など、世界でも希な試験機も所有している。欧州自動車技術の一端を担うATESTEOは、日々新しい試験要求に取り組んでいる。