三菱自動車 加藤隆雄(かとう・たかお)代表執行役CEO

 2021年度の黒字転換に向け、痛みを伴う構造改革を断行する三菱自動車。コロナ禍の逆風の中でスタートを切った新中期経営計画は、新型車の投入や固定費の削減、販売の質向上などによって徐々に効果が表れ始めた。(長谷部博史、福井友則)

 ―21年の見通しや抱負は

 「自動車産業は一定の回復に向かい、ワクチンの開発状況も考えれば、今年は去年よりも間違いなく良い。コロナ禍以前の状態まで戻るかは不透明だが、最悪のストーリーよりは改善している。こうした状況の中、当社が進める構造改革は計画を上回って推移している。『エクリプスクロス』の効果や次期『アウトランダー』など新型車の投入効果も踏まえると、今年は回復の年にしなくてはいけない。21年度の黒字化は十分見通せている」

 ―販売店や部品メーカーへのメッセージは

 「新型コロナウイルスの感染拡大による影響で非常に厳しい中でも、販売店の協力を得ながら改革を進めている。定額利用サービス『ウルトラマイカープラン』も具体策の一つだ。受注の取り方や奨励金の見直しなどにも取り組んできた。新型車が出て、いい流れになるので、ぜひ三菱自動車を信じてついてきてほしい」

 「苦労しているサプライヤーも多い中で、皆さんが頑張って当社の方針についてきてくれている。今年はある程度、約束した台数を出して一緒に盛り上げていきたいので、ぜひ協力をお願いしたい」

 ―中期経営計画の進捗は

 「昨秋ごろまで業績も下降気味の傾向で、他社に比べてあまり良くないという状況が続いた。これまで行った施策の中で、パジェロ製造の生産停止はなかなか辛い決断だった。希望退職制度に対しては550人の募集に対して654人というオーバー達成となった。構造改革も進み、新型車の投入で少し上昇傾向が出てきており、手応えを感じている。世の中の電動化の動きもわれわれにとっては追い風になる。最悪の状況から良い方向に向かい出した」

 ―世界的に脱炭素化流れが強まっている。「新環境計画パッケージ」で掲げる目標を見直す可能性は

 「世の中の動向を見ていると、もう少し電気自動車(EV)を増やすなど戦略の微調整が必要だ。ただ、われわれはプラグインハイブリッド車(PHV)モデルを追加したエクリプスクロスに加え、『アウトランダーPHEV』の後継車や日産自動車との軽自動車EVも計画しており、世の中の動きにマッチしている。すでに決まっていることは変えられないが、その先についてはよりEVに振る必要があるだろう」

 ―社長就任からの約1年半の総括と、今後〝加藤色〟をどう出すか

 「自分はもともと生産分野の人間で、現場を見ながら改善を積み上げることに尽力してきた。地道にやるべきことをやらないと品質問題を起こすことにもなってしまう。経営を行う上で派手なことをやれるとは思っておらず、みんなで検討したことをとにかく地道に一歩一歩やっていく。一番ダメなのは、決めてよしやろうといったことをすぐに諦めてやらなくなること。今、構造改革をやると決めたのでこれは徹底的に実行する」