問い合わせを受ける時間の制約がなく、商談につながる

 木村情報技術(木村隆夫社長、佐賀市)が提供する中小企業のための営業支援事業では、人工知能(AI)を活用したサービスを導入する。同社は2016年からAIを使った自動会話プログラム「チャットボット」を手がける。チャットボットは質問を入力すると自動応答するもので、社内や顧客からの問い合わせなどで使用される。継続的なチューニングで回答精度を高める独自のサポートに定評があり、わずか4年間で導入企業数は100社を超えた。
 現在、チャットボットのベンダーは国内だけで300社近くに上る。ベンダーが林立する中で、木村情報技術の強みは「AIの回答精度を高めるノウハウを蓄積する」(木村社長)ことだ。同社AI事業部が力を入れるのはチャットボットの学習データの作成だ。導入当初は回答できなかった質問を有効活用し、継続的なチューニングを行うサポートが顧客からの高い評価につながっている。
 塩野義製薬は、医療従事者向けの問い合わせにチャットボットを導入した。抗インフルエンザ薬から問い合わせをスタートし、国が定めた用法・用量などを学習させて、問い合わせに迅速に対応している。同薬はインフルエンザの流行期に問い合わせが増加する。従来は電話やメールの対応に追われることもあったが、チャットボットの導入で業務効率の改善につながり、現在6製品に対応している。
 チャットボットは、様々な活動に展開できる利点もある。例えば、顧客に対応するコールセンターの支援ツールで活用していたものは営業活動にも展開できる。チャットボットを上手く展開すれば、導入効果を何倍にする可能性が期待できる。
 木村情報技術の中小企業の営業活動支援事業では、支援先企業の概要や、製品やサービスの情報を学習させたAIチャットボットを導入する。チャットボットは問い合わせを受ける時間の制約もない。ウエブセミナーや動画配信とも連携させて、商談につながるツールとして支援先企業に導入する。

(4回連載)