トヨタ自動車は30日、電子部品の製造過程で環境負荷を大幅に減らす「スタンプ式めっき処理装置」を開発し、数年後をめどに本格販売に乗り出すと発表した。
電子基板などの一般的なめっき工程では、銅やニッケルなどのめっき溶液に基板を浸し、電気を流して金属皮膜(めっき)を形成する。基板全体を浸せる多数の大型水槽と大量の溶液が要るほか、空気中に飛散する有害成分の除去や廃液処理などに大がかりな設備が必要だ。
トヨタが開発した装置は、装置先端のヘッド部に溶液を入れ、めっき処理を施す部位に圧着するヘッドの先端には金属イオンを通す固体電解質膜を装着してある。基板の必要な部位にだけヘッド先端の固体電解質膜を圧着して電気を流すことにより、膜と接している部分にスタンプを押すようにめっきを形成できる。従来設備と比べて廃液量は約30分の1に、排出する二酸化炭素(CO2)は3分の1になるほか、めっき処理時間が短くなり、設備も大幅にコンパクト化できる。
トヨタは開発した装置を自社やグループで使用するほか、保有する特許とノウハウを真空プレス装置メーカーであるミカドテクノスに供与し、兼松を通じて販売する。今後、2~3年はモニター装置として複数の企業に試してもらった後、完成度を高め、2023年頃から広く一般向けに販売していく考えだ。