「日本の車はこれだからいやになってしまう」と米国帰りの青年が国産車の故障を嘆く。小説「不毛地帯」での日米自動車メーカーの資本提携編の場面だ◆時代は昭和40年代。日本車はまだ故障が多く、米国車の方が「アメリカの車は内装など神経が荒っぽいけど頑丈ですよ」と好まれてもいた。ここでのモデルはいすゞとフォードと言われ、作者の山崎豊子は両社の交渉決裂の過程を…