〈2026春闘〉自動車総連、ベア要求方針「1万2000円以上」 中小の賃上げで格差是正へ

  • 自動車メーカー
  • 2025年12月12日

自動車総連(金子晃浩会長)は12月12日、2026年春季労使交渉(春闘)で賃金改善分(ベースアップに相当)の要求額を「1万2000円以上」とする方針を発表した。賃上げ率は約5%。総連が具体的な要求額を示すのは2年連続となる。大手との賃金格差拡大是正に向けて具体額を提示することで中小組合の賃上げ向上を図る。来年1月15日に実施する中央委員会で正式に決める。

同日、都内で開いた会見で金子会長は、物価上昇を背景に賃上げ機運が高まる中でも「組合員一人ひとりからすれば生活が改善したという実感に乏しい」といい、25年春闘で示した賃金改善分の要求目安額「1万2000円」に対し、26年は「以上」を付け加えた。金額は物価上昇に加えて、大手と中小の賃金格差拡大を是正する原資などを総合的に勘案した。金子会長は「額で言えば昨年を下回る理由はない」と強調した。

一方で、自動車各社の業績はトランプ関税の影響で悪化している。その上で前年同等以上の要求金額を示したことについて金子会長は「賃金は中長期を見据えたかたちで取り組んでいくべき。この3年間の物価上昇で生活毀損が激しい。声なき声にしっかり答えていかないといけない」といい、賃金改善分1万2000円以上の実現にこだわりを示した。

総連は19年から要求額を示してこなかったが、25年に7年ぶりに具体額を示した。25年の春闘では賃金改善分が9600円を超え、1976年以降で最も高い水準となった。実質賃金も大幅に改善した一方で、41歳以上は断続的にマイナスが残存しているという。総連は賃金改善分の具体額を示すことで全年代の実質賃金向上を目指す。

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