柳田国男の「木綿以前の事」は日本に木綿が伝来する以前、以後についての民俗学的随筆である。そのなかに、30年ほど前に東京では裸や裸足を禁じた、と言う一節がある。初出は大正13年だから明治20年代のことを言っていることが分かる◆同じく「何を着ていたか」(明治44年)にはこんなことを書いている。「百年は必ずしも長い月日ではないが、文化文政のころの風俗画…