〈人テク展2026横浜〉サプライヤー、「次世代エンジン」向けの提案相次ぐ 燃料の性質による課題解決が焦点

市場や車種に最適なパワートレインの模索続く

  • 自動車部品・素材・サプライヤー
  • 2026年5月28日 05:00

「人とくるまのテクノロジー展2026横浜」(主催:自動車技術会)では、水素やバイオエタノールを用いた「次世代エンジン」に関する展示が目立つ。電気自動車(EV)シフトのスピードが鈍化する一方で、脱炭素化の必要性は変わっておらず、将来のパワートレインの在り方を自動車メーカーが模索している。次世代の燃料が長年検討されてきた中で、エンジン部品のサプライヤーなどが独自の技術を盛り込み、提案に動いている。

会場では水素エンジン向けに設計や性能を見直した部品が並んだ。リケンNPRは、筒内の燃焼シミュレーション解析を用いて設計を見直したピストンを、ピストンリングなどとともに展示した。日本特殊陶業は水素エンジン向けに開発中のスパークプラグを出展。エンジンの試験受託などを手掛けるアネブル(太田隼平代表、愛知県刈谷市)は、筒内にも燃料を噴射する「デュアルインジェクションシステム」搭載の水素エンジンモデルを展示した。

水素エンジンは、通常のガソリンの代わりに水素を燃料として燃焼させるもので、二酸化炭素を排出しないことが大きな特徴だ。また、EVとは異なり従来の内燃機関を残せる点でも期待されている。

大学や自動車メーカーなどが数十年間にわたって研究してきた水素エンジンだが、いまだに実用化に至っていない。その理由の一つが、異常燃焼が発生しやすいことだ。水素はガソリンと比較して可燃性が高く、燃焼速度も速い。アネブルの担当者は「異常燃焼が起きるため、燃料を多く入れることができず、出力が上がりにくい」と指摘する。スパークプラグで着火する前に圧縮の途中で燃焼してしまうため、ピストンやシリンダーにもダメージが及ぶ。実用性や耐久性の点で課題が残る中、各社の技術が解決につながるか注目される。

一方、バイオエタノールについてはガソリンとの混合や、100%エタノールで走行できる車両がブラジルなどで実用化されている。マーレの担当者は「エタノールはガソリンより気化しにくく、着火しにくい」と指摘する。「大量に吹きつけると、シリンダー内の潤滑油を劣化させ、部品を摩耗させる」(同)など、水素同様に燃料の性質に起因する課題がつきまとう。

これに対しマーレは、材質を見直したエンジンバルブや、コーティングを施したピストンリングなど、耐摩耗性を高めた部品を組み合わせた「エタノール燃料対応パワーセルユニット」を紹介した。「100%エタノールに対応でき、すでに実用化している」(同)という。

一方で、各社は水素エンジンなどの次世代エンジンがパワートレインの主流になるとは考えていない。リケンNPRの担当者は、「水素タンクのスペースなどを考慮すると、水素はトラックなどで使えても、乗用車での普及は難しいのではないか」と指摘する。アネブルの担当者は「エネルギーを使わずに取り出せる燃料を、市場ごとに地産地消するようになるのではないか。その上では電気やアンモニアも選択肢だ」と話す。

重点製品として燃料ポンプモジュールなどを展示した愛三工業の担当者は、「目新しいものがあるわけではないが、展示は内燃機関部品をやめないという意思表示だ」と語る。パワートレイン開発はどれか一択に絞るのではなく、市場や車種ごとに最適な形を模索する状況が続きそうだ。

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