日産自動車は、2027年度の投入を目指して新型「スカイライン」の開発を急いでいる。開発では期間を最短30カ月へと大幅に短縮する新たなプロセスを取り入れる。日産の歴史や高い走行性能を体現するだけでなく、経営再建による変革の象徴としても位置づける。国内販売の回復においても重要な役割を果たしそうだ。
「今後18カ月で6つの全面改良車を投入する。ルークス、リーフ、エルグランド、キックス、パトロール、そしてスカイラインだ」。イヴァン・エスピノーサ社長は2月12日、苦戦する国内販売の挽回策としてスカイラインの投入を予告した。
現行スカイライン「V37」型は、14年に発売した。19年の大幅改良では「プロパイロット2.0」を初搭載し、高速道路での手放し運転と車線変更支援を実現。最高出力405馬力のガソリンエンジンを搭載した「400R」も設定するなど、技術面でも一石を投じた。昨年11月からは、モデル末期を飾る特別仕様車「400Rリミテッド」を限定販売している。
■2つの意味での「スピードの象徴」
新型についてエスピノーサ社長は「スカイラインは極めて大切なモデルであり、スピードの象徴だ。クルマとしてだけでなく、日産の変革の象徴でもある」と、25年11月の日刊自動車新聞のインタビューでも期待感を示していた。
日産は1モデルあたりの開発期間を現状の50カ月前後から、新規車種で37カ月、後続車種で30カ月へと大きく短縮することを目指している。試作品を作り直したり改良したりする時間を削減するため、例えばボディーを流れる気流の可視化や車体デザインの決定過程では、拡張現実(AR)技術を使い始めた。開発期間の短縮は固定費の削減にもつながる。経営再建を急ぐ日産にとって、中国新興メーカーに対する競争力強化とともに重要な意味を持つ。
日産はこれを「ファミリー開発」として派生車種の開発につなげていく。スカイラインのほか、2車種のSUVにもプロセスを用いる予定だ。
■SUV全盛時代、スカイラインの持つ意味とは
新型は、日産とスカイラインの「らしさ」を問う上でも重要な意味を持ちそうだ。初代は1957年、当時のプリンス自動車工業が発売した。以来、「技術の日産」を体現する車種として進化を続け、高性能グレード「GT-R」も生み出した。ただ、現行型の13代目は発売当初、国内仕様でも日産ではなく「インフィニティ」のエンブレムが付けられたほか、当時提携していた独ダイムラー(現メルセデス・ベンツ)の排気量2リットル直列4気筒エンジンの搭載をアピールした時期もあった。後輪駆動ベースのハイブリッド車(HV)や、プロパイロット2.0の設定も現在では消滅している。
エスピノーサ社長は「スカイラインは感情に訴えかけるクルマであり、背景にある物語は周知の通りだ。間違いなくハイパフォーマンスモデルでなければいけない」と話す。世界的にSUVが市場の中心にある中でも、スカイラインは伝統的にセダンを守り続けている。ただ、中国の東風日産の「N7」や「ティアナ」、米国の「セントラ」など、売れ行き好調な新型セダンも多く、需要が消滅したわけではない。旗艦車種の1台として、ベールを脱ぐ日が待たれる。
(中村 俊甫)






















