〈トップインタビュー2026〉ヤナセ、森田考則社長 2025年は販売減もMベンツ販売のシェア「高まっている実感」

BYD参入は「100分の1でも見える景色あるはず」

  • 自動車流通・新車ディーラー, 連載・インタビュー
  • 2026年1月13日 05:00

2025年の輸入車市場は2年ぶりに前年を上回り、比較的好調に推移した。もっとも、ブランドごとに勢いは異なり、首位のメルセデス・ベンツ(MB)は前年比4.4%減の5万855台(乗用車)にとどまった。グループで全国に200拠点以上を抱え、主力のMB以外にさまざまな銘柄を取り扱っているヤナセは、こうしたトレンドの変化を最前線で感じ取る。26年の国内市場にどう向き合っていくのか、森田考則社長に聞いた。

―2025年の販売状況は

「数字的には、苦戦しているというのが正直なところだ。(日本メーカーの海外生産車を除く)外国メーカー車の販売台数は24年を上回った(前年比7.0%増の24万3129台)が、当社の全ブランドを合わせた販売台数は減少した。理由は主力のMBで新型車の導入が少なかったことだ。販売台数がそれなりに減ると、収益も圧縮される。こうした中でも賃上げやインフレへの対応など、踏ん張らなければならない部分もあるが、心配はしていない。MBの国内販売に占める当社のシェアは、この数年で高まっている実感がある。ヤナセの強みは発揮できている」

―MB車販売でのヤナセシェアは徐々に低下していた印象だが、変化しているのか

「感覚的には間違いなくそういう流れだ。3年前くらいから反転してきている」

―ヤナセの強みとは

「顧客と人対人でつながることにより、高額な商品を納得いく形で代替してもらう営業スタイルを崩していない。その中でも、競合に先んじてデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資を進めてきた自負がある。デジタルに人の仕事を奪われるのではなく、人が利用するための設計図ができてきているのが強みの一つだ。当社は、ただ単に店舗数が多い百軒長屋(ひゃっけんながや)ではない。DXでも一軒ごとの長屋が得たノウハウを、全国のネットワークに共有できる。この組織力も強みだ。また、日本経済に貢献する使命感のほか、付加価値のある顧客サービスを提供していく信念も全体に定着している」

―MB車の勢いは回復していくか

「大幅な商品改良などはあると思われ期待しているが、しばらくは新商品の谷間の時期が続くとみている」

―商品サイクルの山場を迎えるまでの仕込みは

「踊り場ではあるものの、顧客満足(CS)を高めて、地固めをしていく。これは新モデルがあったとしても同じで、やるべきことは変わらない。また、店舗への投資は止めない。インポーターの方針も踏まえ、店舗の競争力を高める取り組みを進めていく」

―電気自動車(EV)の販売状況は

「ヤナセが取り扱っているEVの販売は、24年に比べて6割程度にとどまった」

―EVを主軸としている中国・比亜迪(BYD)のディーラー事業も始める

「BYDはソフトウェアデファインドビークル(SDV)のカテゴリーで間違いなく第一線を走っており、リスペクトしている。国内市場ではなかなかEVが根付かないが、BYDのビジネスを経験することにより、違う風景が見えるかもしれない。その経験を、他のブランドにも役立てていきたい。(BYDの出店計画の)100分の1ではあるが、それでも十分に分かると思っている。規模は小さいが、われわれの大事な一歩として期待している」

―24年から始めたフェラーリ販売事業の動向は

「とても良い。拠点を増やしたいが、テリトリーの問題もある。インポーター意向も確認しながらにはなるが、われわれとしては非常に前向きに考えている」

―26年の市場見通しは

「輸入車を扱っているため、為替に左右される部分が大きい。日本経済そのものにも影響される。ただ、このまま行けば横ばいではないか」

―改正保険業法への対応は

「大事な経営課題の一つだ。力を入れて対応していく。ただ、これまでの取り組みを通じて、当社は損害保険の業界から評価されていると考えている。この機会に、よりきちんとしたものにし、もう一つの強みにしたい」

〈プロフィル〉もりた・たかのり 1986年慶應義塾大学経済学部卒、伊藤忠商事入社。2009年11月にヤナセに出向し常務執行役員。14年4月伊藤忠に戻り、その後同社執行役員自動車・建機・産機部門長などを経て23年6月ヤナセ専務執行役員、24年4月から現職。1963年10月生まれ、62歳。大阪府出身。

(廣石 真子、水鳥 友哉)

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