三菱ふそう「eキャンター」 1カ月で3000キロを走破、人気番組「水曜どうでしょう」に貸し出し

立ち寄った各地で実用性を発信

  • 自動車メーカー, 北海道
  • 2025年12月11日 05:00

 三菱ふそうトラック・バスは、北海道発の人気番組が主催するイベントに協力し、電気トラック(EVトラック)を提供した。北海道テレビ(HTB)の人気番組「水曜どうでしょう」が実施する「水曜どうでしょうキャラバン2025」に「eキャンター」を貸し出した。機材運搬や会場のステージに使用してもらうことで、EVの認知度引き上げや、環境に配慮した運営を支援した。EVトラックは約1カ月で東北から関西までの12会場、3361キロメートルを走破した。

 番組は旅をテーマに1996年に放送が始まった。ドキュメンタリーの手法を取り入れた作りで全国的な人気となった。メインの出演者の俳優、大泉洋さんは、この番組を契機に全国的に注目され、スターダムを駆け上がった。レギュラー放送が終了してからも継続して新作が放送されており、各地の「藩士」と呼ばれる根強いファンに支えられている。

 HTBは2014年にキャラバンを開始した。番組を全国の放送局に販売した際、東北の放送局が最初に購入したことや、東日本大震災からの復興支援、ファン同士の交流を目的にイベントを立ち上げた。コロナ禍を経て今回が9回目となった。岩手県平泉町から兵庫県洲本市までの12会場を巡り、約4万人が集まった。

 今年は新たに三菱ふそうが開催に協力し、機材運搬車両としてeキャンターを提供した。124キロワット時のバッテリーを搭載するワイドキャブ仕様で、航続距離は最大324キロメートル。EVの普及では、航続距離やインフラ整備が大きな課題となる。三菱ふそうは3千キロメートル超を走る試みで、使い方による課題把握と解決を図りつつ、来場者へ性能をアピールできる点から車両供与に踏み切った。

 走行する経路は、急速充電器を備える販売拠点18カ所と公共機関の充電器を組み合わせ、1回の充電で200キロメートルまでを目安に設計した。

 HTBコンテンツ事業部の社員2人が運転や充電を担当した。北海道・苫小牧港からフェリーで茨城県・大洗港に向かい、最初の開催地である岩手県平泉町へ北上した。これは、東北各県の広い面積と急速充電器を備える拠点のバランスを考慮したため、だという。

 ステアリングを握ったHTBの吉田麗人さん(41)は「上り下りで瞬間的な電費が異なり、長い上りで航続距離が大きく減る点が心配だった」と振り返る。実際に長野県の会場に向かうルートでは長い上り勾配が続いた。安全性を考慮して、計画になかった諏訪市で充電を行った。

 車両の特性については走行中の高い静粛性や3段階の回生ブレーキによる運転の楽しさを印象的な点として挙げた。「長距離移動に最適なモデルだった」(吉田さん)と評価された。また、充電ポイントでは現地拠点社員からの熱烈な歓迎があり、イベント参加者とのコミュニケーションにもつながった。

 eキャンターは、23年のデビューから大規模事業者を中心に2千台超を販売している。ルート配送に使用する小中型ボディーの引き合いが強いという。電動車両を取り入れることでブランドイメージの引き上げを図るケースも多い。

 今回のルート設計などを行った三菱ふそう営業推進部マーケティング&セールスプロモーションの安武亮マネージャー(46)は、「eキャンターで長距離走行することは少なく、実用性を発信する貴重な機会となった。(充電を行った)各地販売店の社員からも好評で、有名番組への協力が現場の一体感にもつながった」と挑戦が大きな成果をもたらしたことを強調する。

(北海道支社・梅崎 信孝)

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