女性、そして史上最年少で今年の全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)に初参戦する18歳のJuju(野田樹潤)選手が注目されている。レーサーの傍ら、今春には大学にも進学する。「文武両道」を目指す背景には、モータースポーツでは女性が身体的に不利とされる理由を解明し、さらなる活躍につなげたいとの想いがあるからだ。レースという男性社会でも着実にステップアップしてきたJuju選手の動向に熱い視線が注がれている。
Juju選手は元F1ドライバーの野田英樹さんを父に持ち、わずか4歳でカートレースでデビューした。勝利を積み重ねたことで、世界最年少となる9歳でフォーミュラーカーレース(F4選手権)に出場した。2020年からは拠点を欧州に移した。23年シーズンはイタリアの「ジノックスF2000フォーミュラトロフィー」で年間王者となった。18歳になった今年、国内での競技ライセンス取得に必要な普通免許も取得したことで、国内最高峰のカテゴリーに参戦する条件が整った。
4月からは日本大学に進学し、水泳五輪メダリストの本多灯選手らが属するスポーツ科学部で学ぶ。Juju選手は「レースが中途半端になるから当初は大学に進学する気はなかった」という。ただ、学校で学び、考えることで、レーサーとしての実力アップと男性中心のモータースポーツ界で女性の活躍につながる可能性を発見できる何かがあると考え、進学を決めた。
F4マシンの最高時速は200キロメートル超だが、SFでは300キロメートル近くに達する。高速コーナーでは体重の数倍の重力が肉体に襲い掛かる。一般的に成人女性の筋肉量は男性の7割程度と言われ、骨格も異なる。このため、四輪車モータースポーツの最高峰であるF1では、女性レーサーが参戦すること自体まれだ。
Juju選手は幼少期から男性に混じってレースで戦い、実際に結果を残してきた。自身の強さについて「重力に抵抗するのではなく受け流すような走り方で、無駄なエネルギーを他のドライバーよりも使っていないのでは」と分析する。
ドライバーの速さを学術的に解き明かすことができれば、モータースポーツ界で女性の活躍につながる可能性がある。「なぜ、この身体で男性よりも速く走れているのか。そこが分かれば、より強くなれるし、次の世代のドライバーにも良い影響を与えられるかもしれない」という。
2月下旬、鈴鹿サーキットでの開幕前テスト走行ではクラッシュして下位に沈んだ。最年少、そして女性ドライバーのSF参戦は注目の的で、否定的な見方をする人もいる。そんな騒がしい周囲をよそに、Juju選手はサーキット外でも心身のトレーニングを積み重ね、開幕に向けた準備に余念がない。「高い順位は望まないが、レースを楽しんでベストを尽くし、成長を遂げたい」と前向きだ。またJuju選手のファンで「サーキットに初めて来てくれた人もいた。モータースポーツを好きになるきっかけになればうれしい」と笑う。
鈴鹿サーキットでの開幕戦が今週末の10日に迫る。身長約170センチメートルの華奢な女性レーサーが大きな一歩を踏み出す。
(中村 俊甫)





















