木漏れ日の中を3人の娘を持つ白人の美人の母親ダイアナ(バーバラ・ハーシー)が薄いねずみ色の4ドアセダン「シトロエン DS」を快調にとばす。助手席に座る13歳の可愛らしい長女モリー(ジョディ・メイ)は、初めてカールを掛けた金髪のショートヘアを風になびかせていた。南アフリカのアパルトへイト問題をテーマにしたドラマ「ワールド・アパート」のワンシーンだ。車が家に着くとモリーはうれしそうに髪を家族たちに見せる。裕福な家庭だが仕事が忙しい両親を持つモリーにとって、母親との幸せな思い出の1日となった。
1963年の南アフリカ共和国。モリーは2人の幼い妹と弁護士の父、新聞記者の母との5人家族で暮らしていた。彼女の両親は反アパルトヘイト運動の支持者でもあった。ある日、父は治安警察から逃れて国外へ逃亡。さらに母は逮捕される。彼女の周囲は彼女に冷たい態度をとるようになり、黒人家政婦エルシー(リンダ・ムブシ)は彼女を慰めようと黒人居住区を案内した。ところが黒人たちが集まっていた教会に警察がなだれ込み、彼女も逮捕される。
DSは仏シトロエンが55年発表した中型車。高級車でありながら威厳を示す大きなフロントグリルを持たないデザインが革新的となった。劇中ではジャーナリストとして強い信念を持つ母の性格を示す車として用いられた。
(取材協力=ブルースカイインターナショナルLLP)



















