日刊自動車新聞社は、「第5回整備事業者アワード2026」の受賞事業者10社を発表した。同アワードは、自動車整備を取り巻く環境が著しく変化する中、今後の整備市場の活性化に向けて〝手本〟となり得る取り組みに光を当て、業界の活性化を図ることを狙いとしている。受賞各社について、全10回の連載でリポートする。
日刊自動車新聞社大賞を受賞した赤碕ダイハツ(上田啓悟社長、鳥取県琴浦町)は、地元の整備工場5社の連携により「共有」「協力」「分担」の仕組みを構築し、地域住民にとって「本当の意味での安心安全なカーライフ」(上田社長)を実現した。
鳥取県中部の琴浦町は人口1万5千人、高齢化率38.9%と全国平均の29.3%(2024年10月現在)を上回る。公共交通機関は民間の事業者が相次ぎ撤退し、移動には車が欠かせない。しかし、エリア内の保有台数が減少し、メーカー系ディーラーが撤退、後継者難による整備専業者の廃業なども相次ぎ、〝整備難民〟も出始めていた。
上田社長は10年ほど前から「何かしなければ」と考え続け、「一社では解決しきれないが、連携することで解決できるのでは」と思い付いた。そこで、エリア内の4社に声掛けし、5社で「琴浦モビリティグループ(コトモビ)」を立ち上げた。
コトモビでは定休日を分散することでの柔軟な対応、得意分野を生かした業務の外注化、設備や機器の共有、事故や故障時などの緊急時対応などを行う。また、共同仕入れによるコスト削減や共有在庫化なども進めた。「やればやるほどスケールメリットを感じる」(同)という。
連携において最も苦労したのは、「構想を理解してもらうことだった」と振り返る。なぜ連携の必要があるのか、何がしたいのか、と問われることもあったが、2年以上をかけ、毎月のようにコミュニケーションを取り、連携の必要性を伝え続けた。
24年に各社の社員を含めた交流会を開催した。そこで「20歳代、30歳代の若い世代同士の交流が生まれた」(同)という。上田社長は「グループ内で『コトモビがあるなら会社を継ぎたい』と言ってもらえた。コトモビを立ち上げて本当に良かった」と実感している。
〈上田啓悟社長コメント〉
受賞できたことをお客さまが喜んでくれたことがうれしかった。誰かだけが得をする仕組みではコトモビは成り立たないため、地域のモビリティを守るために、という部分がぶれないように仕組みを考えた。人口減少など琴浦と同様の課題がある地域はたくさんあるはず。私たちが取り組んできたことが誰かに役に立つのならばお伝えしたい。
(太田 千恵)








