ニデック、製造業の根幹に関わる品質不正 保証体制強化で信頼を再構築できるか

  • 自動車部品・素材・サプライヤー
  • 2026年9月7日 05:00

「今日現在、顧客から大きな取引打ち切りの通知などは受けていないが、(品質の不正を公表した)5月13日以降、多くの顧客の信頼を失い、お叱りを受けている。今後、グループを挙げて真摯(しんし)に対応することがカギになる。信頼を再構築したい」(ニデック・岸田光哉社長)―。ニデックは、品質不正に関する第三者調査委員会から調査結果を受け取り、再発防止と再生に向けた取り組みを公表した。

ニデックの品質不正問題は、昨年の会計処理の不正に関する調査の中で実施した「品質総点検」で発覚。外部専門家で構成する調査委員会が詳細を調べた。

顧客の承認などを得ない材料の変更や、試験・検査記録の改ざんなど、合計844件が発覚した。ビジネスユニット別では、車載電装部品事業を手掛けるニデックモビリティが125件と2番目に多い。また、法令や認証などの違反、組織的な関与があるなどの「重要品質事案」は60件だったが、このうち10件が駆動用モーターを除く車載事業で、ビジネスユニット別では3番目に多い。自動車関連部品事業で品質不正が多かったことは「車載事業の顧客は品質の要求水準が非常に厳しいため」(ニデック・三宅武志取締役執行役員・最高サプライチェーン責任者)としている。車載関連部品は品質やコストの要求が厳しいため、部材変更などに伴う試験など、顧客の承認を得るのに時間とコストがかかる。

不適切な会計に続く不祥事なのに加え、品質不正は「製造業の根幹に関わる問題」(岸田社長)のため、今後の事業への影響が懸念されているが、現在のところ事業や業績への影響は限定的という。品質不正の製品を供給した納入先には、安全などに関して問題ないことを説明している。岸田社長は顧客の反応について、「非常に厳しいものがある。2度と起こらないように何をするかを提示していくことが大切だ」としている。

調査委員会は、グループ内で品質不正が横行していた原因の一つが、創業者である永守重信元会長ら経営陣による業績目標の達成やコスト低減に対する過度なプレッシャーと指摘している。ニデックは品質不正の再発防止策として、正しいを優先する「風土」に加えて、品質に関する責任や権限、けん制機能を再設計する「制度」、開発から納品まで一気通貫で管理する「プロセス」を作る方針だ。従来の体制は、収益力を重視してコスト低減などを優先してきた影響もあって、品質保証部門は手薄だった。

ニデックは高い収益力を武器に、企業買収を繰り返して成長してきた。品質保証体制の強化は、ニデックの特徴である収益力の低下を招くリスクもある。岸田社長は「正しくやるためには不可欠な要素で、それなしには成長して、収益力をアップする活動もできなくなる。まず体制を整える」と言い切る。

カリスマ経営者・永守氏が退場し、厳しい経営環境に置かれているニデック。人的資本も含めて投資を増やし、自動車メーカーなどの厳しい品質基準を満たしながらコスト競争力も強化、受注を獲得できるのか。

(編集委員・野元政宏)

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