「今月はまだ始まったばかりだから大丈夫」。自分のデスクで、どこか気持ちに余裕を持ちながら日々の業務をこなしている若手スタッフの姿がありました。焦らずマイペースに仕事に向き合う姿勢は、一見すると余裕の表れのようにも見えますが、実はここに、多くの若手が無意識に陥ってしまう大きなわなが潜んでいます。人は誰しも、時間だけは自分に平等に、そしてたっぷりと残されていると思い込んでしまいがちです。しかし、現場の最前線で流れる時間は、想像しているよりもはるかに速く、あっという間に過ぎ去っていきます。
入社したばかりの頃は、周りの先輩や店長も最初はできなくて当たり前、と温かく見守ってくれます。困ったときには誰かが手を差し伸べてくれ、失敗しても次から気を付けよう、と優しくフォローしてもらえます。その環境に慣れてしまうと、まだ大丈夫という安心感が心の中に根を張ってしまいます。しかし、そのまだ大丈夫という免罪符が通用する期間は、驚くほど一瞬で終わります。気付いた時には後輩が入り、教える側としての役割を求められ、期待される成果のハードルも一気に高くなっていきます。その時に慌てて自分の足元を見つめ直しても、過ぎ去った時間を取り戻すことはできないのです。
自動車販売という仕事において、真のプロフェッショナルへと育っていく人は、時間の重みを早い段階で知っている人です。きょうという一日、目の前を通る一人のお客さま、一台の試乗。それらすべてが、二度と戻ってこない一度きりの成長のチャンスです。来月から本気を出す。次の商談から意識を変える。と先送りにしている時間は、自分自身の成長を止めている時間に他なりません。効率やスマートさを重視する今の時代だからこそ、今この瞬間に全力を注ぐ姿勢が、同期やライバルに圧倒的な差をつける一番の原動力になります。
入社してから2年目になった時を思い出してください。驚くほど一瞬で1年が終わったと思います。1年という時間は、想像以上に早く過ぎ去ります。気付いた時に、「あの時やっておけばよかった」と悔やむのか、それとも「あの時から本気で動き出してよかった」と自信に満ちた顔で立っているのか。その分かれ道は、まさに今、目の前にあるきょうという一日の過ごし方の中にしかありません。
まだ大丈夫と自分に言い訳をするのをやめて、きょうの商談、きょうの電話一本に、あなたの持てるすべてを懸けてみませんか。未来の自分をつくるのは、未来の自分ではありません。きょうこの瞬間に本気で動いた分だけ、あなたの未来は輝き始めます。
文:株式会社プログレス 江原忠宏
〈プロフィル〉えはら・ただひろ 2006年東海大学電子情報学部卒、同年国産ディーラー入社。営業職、店長を務めるも、17年5月輸入車ディーラーに転職。入社2年目に係長昇進、3年連続で販売優秀者表彰。その後人材育成にやりがいを見出し、20年プログレス入社。「人材を『人財』に」をテーマに活動中。静岡県出身、43歳。

















