日産自動車はV型6気筒エンジンに組み合わせる新たなハイブリッドシステムを北米市場向けに開発する。2028年度以降、ラダーフレーム車への搭載を想定する。日産はシリーズ式ハイブリッドシステム「eパワー」を中核とした電動化戦略を進めているが、米国市場では内燃機関車を求める声も根強く、使用環境も特殊であることを踏まえ、エンジンも駆動力として活用するパラレル式ハイブリッドシステムを新たに開発する。日産は各市場の需要に合わせ、パワートレインを多面展開する戦略を取り始めた。
4月に公表した「長期ビジョン」で開発方針を明らかにした。フレーム車はシャシーの堅ろう性を強みとし、特に北米ではボートやトレーラーハウスなどをけん引する需要もある。さらに足元ではガソリンの小売価格が高止まりしており、ハイブリッド車(HV)の販売が伸びている。けん引時の高負荷に耐えつつ、高速・長距離走行時には優れた燃費性能を発揮するパワートレインを準備することで市場競争力を高める。新型ハイブリッドシステムの生産は国内で行うことを想定している。
開発の背景には環境規制の見直しと電気自動車(EV)市場の減速がある。米国はもともと高速道路で長距離を走るユーザーが多い市場特性があるものの、温室効果ガス排出規制や企業別平均燃費基準(CAFE)の達成にはEVを多面展開する必要があった。だがトランプ政権下で環境規制は軒並み撤廃となった。イヴァン・エスピノーサ社長は、「市場は非常に流動的であり、柔軟性を持たせて顧客が望む技術を選択できるようにする。方法の一つは競争力のある内燃機関への投資を続けることだ。北米ではユーザーがHVに乗り替えを始めており、いくつかの解決策が必要だ」と話す。
日産はこれまでEVとeパワーを中核とするパワートレイン戦略を取ってきた。北米では26年度、高速走行時の燃費などを改善した最新の「第3世代eパワー」を投入する。並行してV6エンジンへの投資も続け、多様化する需要に応える。中国では東風汽車集団との協業でプラグインハイブリッド車(PHV)やレンジエクステンダーEVも複数モデル、投入していく。
競合他社も北米向けラダーフレーム車の電動化を進めている。トヨタ自動車はすでに「タンドラ」などにハイブリッドシステム「i-FORCE MAX」を設定している。ホンダも大型車向けのハイブリッドシステムを29年までに実用化する方針。フォード・モーターもピックアップトラックにHVを設定している一方、EV「F-150ライトニング」は25年末に生産打ち切りを発表するなど、内燃機関技術への回帰が鮮明になっている。

















