三菱自動車は6月21日、東京都港区のホテルで「第50回定時株主総会」を開催し、カルロス・ゴーン氏が取締役を退任するとともに、代表執行役CEO(最高経営責任者)に就任する加藤隆雄氏の取締役就任を決議した。12年間にわたって同社のトップの座にあった益子修氏も同日に代表執行役会長となってルノー、日産自動車とのアライアンスのみを担当する。電動化や自動運転などによって自動車業界が大きく変化する中、新しい経営陣は規模拡大を追求せず、競争力のある分野に集中する戦略に軌道修正して生き残りを目指す。
「small but beatiful(スモール・バット・ビューテイフル)」―激変する自動車業界で三菱自が生き残るために掲げたキーワードがこの言葉で、規模は小さくても、利益率の高いことを意味するという。電動化対応や自動運転など、自動車メーカー各社は次世代車の先行開発投資を迫られており、固定費が増加、収益を圧迫している。潤沢な開発投資を持つ規模の大きな自動車メーカーが有利だ。三菱自がここで争っても勝てないと開き直って、規模拡大による成長から、競争力のある地域、セグメントに集中することで収益力を高めて「健全で持続的に成長する」(益子会長)戦略に転換する。
三菱自では、闇雲に規模だけを追求しない戦略を進めるための中期経営計画を2019年度内に策定して、2020年度から実行する方針で、これに合わせて新しい三菱自に向けて経営陣の世代交代を進める。2007年に三菱自の社長に就任してから約12年間にわたってトップの座にあった益子会長は「常識にとらわれず、柔軟な考え方を持つ若い世代に引っ張ってもらう」と述べた。規模拡大を追及してきたゴーン元会長が会社法違反(特別背任罪)などの事件で退場したことも戦略転換の絶好のタイミングに映る。
三菱自は「営業利益全体の5割以上がASEAN」(益子社長)で、セグメントではSUVや1トンピックアップトラックに強みを持つ。これら競争力の高い分野に投資を集中することで、強みをさらに強くする。弱点である自動運転など、先進的な領域では「アライアンスを活用し、連携して効率的に開発する」(益子会長)。これを見据えた役員人事が日産の坂本秀行副社長の社外取締役の就任だ。坂本氏は6月25日の日産の定時株主総会で取締役を退任するが、日産の技術部門のトップを務め、特に先進技術分野に強い。自動運転分野で進んでいる日産との連携を強化して、弱点をカバーする狙い。
6月20日にルノーと日産が、グーグルの自動運転開発会社ウェイモとドライバーレス・モビリティサービス事業での提携を発表したが「(三菱自も)メリットがあれば参加したい。将来技術でアライアンスのメリットは大きい」(益子会長)と見る。
新しい経営陣によって、得意分野、強みのある分野に集中し、足りない分野はアライアンスを有効活用する戦略を描く三菱自。電動シフトや自動運転の実用化、異業種の参入など、激変する自動車産業を生き残ることができるか。


















