米連邦破産法申請が固まったマレリHDの本社(11日、さいたま市)

経営再建中の大手自動車部品メーカー、マレリホールディングス(HD)は6月11日、米連邦破産法11条(チャプター11、日本の民事再生法に相当)の適用申請を開始したと発表した。私的整理がまとまらず、資産を裁判所の管理下に置きつつ、事業を継続して再建を目指す。

貸出残高は約6500億円規模。2022年に続く経営破綻となる。同法ではスポンサー企業からの資金投入などがしやすくなるとの見方もある。

同社は「手続き申請期間中、生産・販売などの企業活動や運営に影響は及ばないものと見込んでいる。債務を株式に振り替えることがバランスシートを強化しつつ、これまで通り事業運営を継続するための最善の道と判断した」とコメントしている。

複数の関係者によると、インドのマザーサンがスポンサーに名乗りを上げ、交渉が進んできたが、私的整理案をめぐり、メインバンクであるみずほ銀行など邦銀側と、マレリの金融債権を買い取った外資系金融機関や投資ファンドの思惑の違いが表面化。みずほ銀などは、マレリ経営陣の意向も踏まえ、リストラとともに一定の投資を支持する立場をとっていた。一方、外資銀などは、債務の返却や比較的短期間での企業価値向上を重視するなど、ずれが見られた。

5月26日の提案から10営業日にあたる今週初めが、金融機関などの態度表明の期日とされ、調整が進んでいたが、チャプター11を申請することとなった。

マレリは、前身にあたる旧カルソニックカンセイをKKRが2017年に買収し、19年に旧マニエッティ・マレリと統合して誕生した。その後、リストラの遅れや日産自動車の減産、コロナ禍などの影響で業績が悪化。1兆1000億円超の負債を抱え、民事再生の一種である「簡易再生」で、22年から再建を進めてきた。

しかし、その後も日産やステランティスの生産低迷などで業績が上向かず、追加支援として毎月、返済猶予を受ける状態が続いていた。

(2025/6/11更新)