日野自動車と三菱ふそうトラック・バスは6月10日夜、経営統合の最終合意を締結したことを受けて、親会社のトヨタ自動車とダイムラートラックとともに都内で記者会見を開いた。統合会社のCEO(最高経営責任者)に就く予定の三菱ふそうのカール・デッペン社長CEOは、基本合意から丸2年が経過しての再スタートに「時間がかかったが、正しい方向に向かうことが重要だ」と意義を語った。2社は次世代技術の開発や生産、調達などで相乗効果の創出を狙う。公正取引委員会などから認可を得て、今年後半にも詳細な戦略を改めて説明する方針だ。
日野と三菱ふそうは、2023年5月に経営統合に基本合意したものの、日野の認証不正問題に伴う民事訴訟や米国当局の調査などがあり、24年2月末に無期限延期を発表していた。三菱ふそうのデッペン社長は「変化する市場に対応するため、2~3年ではなく15~20年の観点で備えないといけない。日野は厳しい状況だったが、多大な作業で解決にあたり、私達の道が開けた」と語った。
2社は統合延期の公表後も水面下で部門ごとの協議を続けていたという。トヨタの佐藤恒治社長は「いたずらに(時間が)過ぎたのではなく、互いに主張し、相違点がどこにあるかを出しきって今日を迎えた。このあとのプロセスは円滑に進むと思っている」と期待を示した。
具体的な商品戦略などは明かさなかったものの、日野と三菱ふそうのブランドは残し、販売会社も当面は維持する。日野の小木曽聡社長は「販売では時として競争しながら、顧客に貢献していくことがメーカーとして強くなる基本だ。長いスパンでは色々あるかもしれないが、各ブランドを大切する姿勢に変わりない」と話した。
日野と三菱ふそうの親会社となる統合会社は、トヨタとダイムラーがそれぞれ株式の25%を保有するが、議決権ベースではトヨタが19.9%、ダイムラーが26.7%となる予定だ。これについて佐藤社長は、トヨタが小型トラックの国内シェアで27%を有していることから、「小型トラックの適正な競争環境を守るため」と説明した。
トヨタとダイムラーも燃料電池トラック(FCトラック)など、大型車の脱炭素化に向けて組む方針。佐藤社長は「両社の技術力を融合し、水素モビリティの社会実装と普及をいかに加速できるか、踏み込んだ連携のあり方も含めて可能性を追求している」と話した。