香川県内で整備工場「ラチェットモンキー」を4カ所運営しているヤマウチ(岡本将社長、高松市)は、独自開発した車検予約ウェブ管理システム「totoco(とっとこ)」を社内で運用することで、現場の整備士などの業務効率化や売り上げ増加で成果を出している。
とっとこは、車検・点検整備の予約から部品発注、整備作業、各種手続きや出庫までを一元管理するシステム。同社ではこのシステムを導入することで、電話対応などの手間をかけずに顧客情報の登録が可能になったほか、24時間体制で受け付けできるため顧客との接触機会が大幅に広がった。また、顧客情報をはじめ、作業工程や入庫車両をすべて一元管理する機能を備えており、ネット予約枠を活用してシフトに合わせた集客も可能となった。
これらの特徴により、導入から3年後にはラチェットモンキーの売上高は従来比35%増となった。売上高の増加に伴い、平均総支給額も同6.5%増と社員の待遇改善にもつながった。また、業務効率化も進み、年間休日は従来の100日から120日に増えた。指定工場の「東バイパス本店」をはじめ「ルート32号店」「屋島店」の年間車検台数は7千台に上るが、予約の6割がインターネット経由で占めるなど、入庫台数の増加や業務効率化で効果が出ている。
とっとこを開発した契機は2011年に同社がオカモトホールディングスに入ったことだ。複合型企業のグループ会社になったことで、ヤマウチでも業務効率化をはじめとする経営合理化や職場環境の改善などの必要性が強くなった。これらの課題解決を図るため、ラチェットモンキーの各店舗でもデジタルトランスフォーメーション(DX)が必要不可欠と判断した。
DXを推進するツールとして、同社は14年10月にとっとこを開発した。導入効果は3か月後に表れ、車検予約のネット比率が6割になったほか、営業時間外の予約が30%に達した。加えて、ネット予約の44%が新規客だったという。こうした結果や整備業界の評価も踏まえ、同社は15年10月に機械工具商社や他の整備事業者にシステムの販売を開始した。
現在では、自社の整備士をはじめとする社員の待遇改善だけではなく、多くの事業者の業務負担軽減など業界のDX支援に貢献している。
〈モビリティマーケティング統括事業本部 カーライフ事業本部 人見いづみ次長コメント〉
とっとこは職場環境の改善などの観点から、整備業界の多くの人たちが幸せになれるDXを推進するツールだ。現場の業務効率化による売り上げの増加などを通じ、整備士の地位向上を図るために開発した。DXは業界にとって避けては通れない課題だ。今後も業界の現場の声を一生懸命聞いてとっとこの改善を続け、皆さんと一緒に成長していきたい。
(関西支社・松尾 隆浩)