昨年はトヨタ勢が表彰台を独占した(リエゾンを走る「GRヤリス ラリー1ハイブリッド」)
愛知環状鉄道はラリージャパンのラッピング電車を走らせる

 世界ラリー選手権(WRC)最終戦「フォーラムエイト・ラリージャパン2024」の開幕が1週間後に迫った。最上位クラスにはトヨタ自動車のほか、ヒョンデ、フォードが参戦。今年も愛知県と岐阜県の公道に設けられる競技区間「スペシャルステージ(SS)」で合計タイムを競う。今大会はドライバー、マニュファクチャラーの両選手権が決定する大一番。トヨタにとっては凱旋レースとなるだけに、白熱の戦いが繰り広げられそうだ。

 ラリージャパンは、愛知県豊田市が主催者として加わるラリー競技。愛知・岐阜の5市1町にまたがるSSを4日間にわたって走る。ラリーはSSの間に「リエゾン」と呼ばれる移動区間があり、競技車両が一般車に混じって開催国の交通法規を順守しながら公道を走る。競技車両を間近で見たり、応援できる、他レースにはない珍しい機会だ。

 トヨタは「トヨタガズーレーシングワールドラリーチーム」として最上位クラス「ラリー1」を戦う。今シーズンのチャンピオン争いはドライバー、マニュファクチャラーともにヒョンデに続くランキングの中で、今シーズンのラストレースに挑む。

 トヨタのマシンは「GRヤリス ラリー1ハイブリッド」。ヒョンデ、フォードとともにしのぎを削るラリー1の特徴は、ハイブリッドシステムを採用したパワートレインを搭載し、合成燃料を使うなどクラス全体で環境対応を推進している点にある。

 ハイブリッドシステムは出力100㌔㍗(約136馬力)のモーターと3・9㌔㍗時のバッテリーに、排気量1・6㍑の直列4気筒直噴ターボエンジンを組み合わせる。最高出力500馬力以上、最大トルク500ニュートン㍍以上というハイパワーを絞り出す一方、減速時には回生ブレーキを通じ、エネルギーを電力として回収する。マシンメンテナンスを行うサービスパークなどでは、外部接続によってバッテリー充電もできる。燃料は合成バイオ燃料だ。

 地域を挙げてイベント振興に力を入れるのもラリージャパンの特徴だ。愛知環状鉄道はラリージャパンを告知するラッピング電車を運行。岡崎市から豊田市を経由して春日井市までをつなぐ路線(岡崎駅~高蔵寺駅間)を走らせている。

 SSが設けられる岐阜県恵那市と愛知県岡崎市は、観戦チケットをふるさと納税の返礼品として用意した。寄付金額は7千~9万7千円で、返礼品は両市合わせて50種類以上を用意。観戦日や観戦場所、人数に合わせて選択できるようにした。

 世界最高峰のWRC日本ラウンドは21日に初日を迎える。開幕日には航空自衛隊によるブルーインパルスの展示飛行、前日夜には前夜祭「エンジョイラリーファンミーティング」が豊田市駅東口や豊田スタジアムをつなぐ県道352号付近で開催され、マシンの展示やドライバーのサイン会などが行われる。紅葉に染まった中山間部をラリーカーが疾走する日本ならではの風景が見られそうだ。