eモータースポーツのプロリーグ「UNIZONE(ユニゾーン)」を立ち上げた日本eモータースポーツ機構(JeMO)。来年2月の開幕を眼前に控え、運営スキームや展望など出井宏明代表理事に聞いた。
JeMOの設立背景は―
「近年、免許取得件数の減少、モータースポーツ離れが顕著だ。一連を背景にドライビングの楽しさを多くの人に知ってもらいたいという思いがあった。シミュレーターを使ったeモータースポーツであればそのハードルは低い。クルマの楽しさを伝える一助が担えると捉えたからだ」
昨年、eモータースポーツのプロリーグ「UNIZONE」を立ち上げた―
「昨年末から今年8月にかけてプレイベントを3回実施した。リアルドライバーとeドライバーが入り混じるかたちでレースを行った。現在のシミュレーターの完成度は高い。参加したリアルドライバーから『エキサイティングで楽しめた』と聞いている。リアルドライバーもeレースを観て楽しんでもらえることが分かり、手応えを感じているところだ」
見えてきた課題は―
「リアルと異なり、〝ショーとしての見せ方〟を考えていく必要がある。プレイベントでも採用したが、レースの見方を教える意味でMCの存在は必要不可欠だ」
来年2月に開幕戦を実施する―
「群馬県でリアル集客開催する。6チームが参戦する見通しだ。年間で計6戦を実施する計画だが、開幕戦以外は基本的にオンライン配信するかたちで平日夜間に実施する。自宅でお酒を飲みながらリラックスしながら楽しんで視聴してもらいたいとする狙いがある。年間優勝チームには賞金を出す。白熱したバトルに期待が持てる」
UNIZONEの運営について―
「運営面ではサッカーJリーグを多分に参考にしている。ともにリーグ運営に参画する企業に、参加要件としてJeMOの社員になってもらう。我々とともにリーグの活性化に向けた基本的な方策の立案や実施に取り組んでいただく」
「開幕時点では6チームが参戦するが、チームにも参加要件としてJeMOへの会費を求めている。中長期的なリーグの活性化に伴い、利益は各チームに還元する仕組みだ。Jリーグも同じ仕組みだ。現在では会費以上のリターンが実現できており、UNIZONEでも同様の環境を創出したい」
「競技としてはもちろん、ビジネスとしても成立させなければならない。eスポーツドライバーの生活基盤が立てられるだけの収入をどう確保していくのかは大きな課題。解決しなければならないミッションだ」
チームの初期投資について他にどのようなものが必要になる―
「大きく、機材、使用ソフトとして『1Racing』と『ASSETTO CORSA』の2タイトル、そして各チームの拠点となるベニュー(開催地)の3つになるだろう」
「べニューについて建屋、もしくは建屋内の部屋を想定している。開幕戦はリアルで実施するが、それ以降は基本的にオンラインで実施する計画だ。参加チームは各ベニューからオンラインで参戦するかたちになる」
マネタイズについて―
「野球やサッカーのような〝ホーム&アウェイ〟ではなく〝ホーム&ホーム〟の形式が取れる。2つの収益機会を得ることができる。地域ファンの獲得や地域貢献活動に取り組む機会が増やせるものと捉えている」