SOMPOホールディングス(HD)は、資本提携しているRIZAP(ライザップ)グループと連携し、SOMPO HD傘下の損害保険ジャパンの保険代理店へのサポートに乗り出している。ライザップグループが全国に展開している小型低価格ジム「chocoZAP(チョコザップ)」を活用。代理店が持つ遊休物件への出店など、それぞれの担当地域で存在感を高めていくことを柱に支援していく考えだ。旧ビッグモーター問題では、代理店各社の業務にも影響が出た。代理店に対し、目に見えるメリットを打ち出すことで、再生に向けて結束力を高める狙いもありそうだ。
損保ジャパンの代理店は、47都道府県に約4万7千店ある。一方、ライザップグループが全国に展開するチョコザップは現在、全国に約1600店舗あり、会員数は120万人を超えている。双方の強みを生かした事業展開を進めて、シナジーを高める計画。
ライザップグループの瀬戸健社長によると、協業の有力案は代理店とチョコザップを併設したり、代理店の遊休地にチョコザップを設置したりすることという。仮に同じ敷地内にチョコザップを新設して顧客が通うようになれば、隣接する代理店への来店も促しやすくなり、顧客と接触機会を増やしやすくなる効果があるとみている。
地域に密着した新しいビジネスモデルも開発していく。例えば、チョコザップの「青山一丁目店」(東京都港区)ではガラスの壁面に、デジタルサイネージ(電子掲示板)を5つ置いている。これを代理店の広告として使ったり、地域の企業に使ってもらったりして収益の一つにするアイデアもあるという。
また、ライザップグループでは、ホームページやバナー広告を通じて消費者の反響などのデータを集めている。こうしたデータも代理店の新規ビジネスなどに活用できるとしている。「小さな反響があったものを共同で大きく拡大していくこともできる」(瀬戸社長)と見込む。
さらに、チョコザップでは大量の備品を使っており、全国で標準化している。これらの中で、代理店のオフィスの備品に使えるものを共同調達することで、双方のコストを下げる効果も期待できる。
代理店の従業員の福利厚生施設としての活用も視野に入れている。損保ジャパンでは具体化に向けて、JSA中核会(専業代理店の団体)や、同社代理店の整備工場で組織するAIRオートクラブ(森山達人会長)などとも議論をしていく方針だ。
SOMPO HDとライザップグループは、2018年から業務提携している。今春から資本提携の協議に入り、SOMPO HDはライザップグループに、計300億円を出資した。同グループの子会社のRIZAP(ライザップ、瀬戸健社長、東京都新宿区)は、SOMPO HDの持ち分法適用会社になっている。
(編集委員・小山田 研慈)