ナオイオート(直井清正代表、茨城県取手市)は、65歳以上を対象とした交通安全セミナーを開催している。合同の認知症予防体操の後に、ブースに分かれてサポカーの同乗体験や県警本部による歩行者シミュレーターの体験会、脳の活性化を目的としたドローン体験などを行う。2022年からの計6回で、約450人が参加している。
高齢ドライバーの交通事故が社会問題化しているものの、日常生活に車が必要不可欠な地域もある。茨城もその一つで、車がない将来の生活に不安を覚える同社の顧客も多かった。こうした状況を経営理念の中の「車を通じて生涯のお付き合い」と重ねた同社は、「お客さまの豊かな生活のお手伝いができないか」(髙橋和正第一事業本部執行役員本部長)との思いで取り組みを始めた。
参加者はセミナーでの体験や同社社員との会話を通じて、「安全運転サポート車(サポカー)」や、残価設定型クレジットなどの購入方法、中古車相場の動向などを知ることもできる。参加後にサポカーを購入した顧客がいたほか、アンケートでは「また参加したい」という声も多かったという。
セミナーを通して顧客の悩みに対応できた一方で、「ナオイオートを支えていただいた高齢者のお客さまの悩みを聞く機会がこれまでなかったことを反省している」(同)と、新たな課題も見付かった。顧客の中には「儲かる話ではないから迷惑だろう」と相談を躊躇(ちゅうちょ)する人もいた。今後もセミナーの継続開催のほか、今秋にコロナ禍の中断から復活する感謝祭などを通じ、さまざまな顧客と話をする機会をさらに充実させていく考えだ。
セミナーには現場に必要なことを知ってもらいたいと、研修として新卒社員は部門を問わず、全員が参加している。また、内定者のインターンシップにも活用しており、人材育成の場として参加者の充実ぶりに驚くという。新卒説明会では、ESG(環境・社会・企業統治)経営に関する質問も多い。地域貢献活動で10年以上実施している子どもたちが自然に親しむための環境整備を行う「ナオイの森ECOプロジェクト」や交通安全セミナーなどにも関心が寄せられており、エントリー数や採用者数の増加にもつながっているという。
23年には地域密着の観点から鹿島アントラーズとスポンサー契約を締結した。こうした新たな試みも、地域密着のさらなる強化につなげたい思いが原動力になっている。
〈受賞コメント〉
髙橋和正第一事業本部執行役員本部長
取り組みが評価を受けたのはうれしく、やってきたことが間違いではないと確信できた。お客さまの役に立つことで社員の喜びにもつながっている。処遇や職場環境の改善だけではなく、仕事を通じて従業員満足(ES)を感じてもらう環境を整えることができた。地域やお客さま、社員など、さまざまな角度から意義のある取り組みと実感している。
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