ホンダは、四輪と二輪の併売に向けた検討を始めた。人手不足などで既存の二輪販売店の存続が難しくなった地域などで、近隣のホンダカーズ店が「ショップ・イン・ショップ」の形で小型二輪車を扱えるようにする。すでに一部地域で試行を始めており、販売契約や受発注システムなどの環境を整えていく。四輪事業と二輪事業が連携する珍しい事例となる。
ホンダの二輪販売網は全車種を取り扱える旗艦店「ドリーム店」と、排気量250cc以下の二輪車を扱う「コミューター店」の二本立てだ。今でも四輪販売「カーズ店」の運営企業が別契約でドリーム店を運営する事例はあるが、今後は、ホンダが認めた地域に限り、四輪の販売契約の一部として小型二輪車を扱えるようになる見通し。すでに福岡県や岐阜県などで試行している。
ドリーム店は全国に172拠点、コミューター店は4500店(ともに2024年3月末)ある。現時点で新契約の対象となる〝空白商圏〟は少ないとみられ、本格展開に向けた具体的な計画もホンダは決めていない。ただ、同社幹部は「二輪販売店は四輪以上に人手不足などで拠点網維持の課題感が強い」と明かす。少子化に伴い、空白商圏が急増することも視野に今のうちから対策を練る。
ホンダと同じように四輪と二輪を手掛けるメーカーに独BMW、スズキがあるが、顧客層が全く異なるため、いずれも製品開発や販売などの事業を分けている。ホンダは小型車「シティ」に載せられる二輪車「モトコンポ」を過去に開発・販売したが、2社と同じように事業は別だった。少子化が進む日本では今後、〝オールホンダ〟で顧客数や満足度を最大化する販売形態のあり方を模索していく。