バンドー化学は、セルロースナノファイバー(CNF)を用いた世界初のダブルコグベルトを開発し、4月から発売すると発表した。CNFを、ゴムの補強材料として使い、従来製品と比較して伝動能力の大幅な向上、業界最高水準の低発熱性による長寿命化を実現した。近年、ATV(全地形対応車)やUTV(多用途作業車)といった大型バギーは、エンジンの高排気量化・高出力化が進む。こうした高負荷条件に対応する製品として拡販する。

 CNFは植物由来の素材で、鋼鉄の5分の1の軽さと、5倍以上の強度を持つ。同社はCNFの特性を生かすため、ナノ分散技術の開発を進め、ゴムと組み合わせることに成功した。量産化にあたっては化学品メーカーの東ソーと連携した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の成果も一部活用する。

 伝動ベルトは、幅方向には「高剛性」、長さ方向には「柔軟性」と相反する特性の最大化に加え、ベルト使用時の変形に伴うエネルギー損失の抑制が求められている。同社は、これまでカーボンブラックや繊維材料などを補強材料としてゴムと複合化する配合設計を行ってきたが、CNF複合化ゴムを活用することで、伝動ベルトの高効率化と伝動能力の向上につながるという。

 さらに、ベルト幅を縮めることによる使用原材料の削減や低燃費・省エネルギー化を通じた二酸化炭素(CO2)排出量削減も期待できる。大型バギーなどオフロード車両は、米国市場を中心に底堅い需要があることから、エンジンの高出力化を支える製品として売り込む。