SUVなどの新型車攻勢で収益拡大目指す

 ゼネラル・モーターズ(GM)とフォードモーターは、2023年7~9月期決算を発表した。GMは北米の販売増で増収だったが、販売車種構成の悪化や変動費の上昇が響き減益。フォードは売上高を2桁伸ばし前年同期の損失を黒字転換も、新車販売が前年並みにとどまった。通期は全米自動車労組(UAW)との賃金交渉の影響で、フォードが従来予想を取り下げるなど不透明な状況だ。

 GMの7~9月期の新車販売は、北米ではフルサイズ・ピックアップトラックや上級SUVの好調で2割強増え順調だった。しかし、中国の2桁減などで全体の伸びが弱まった。電気自動車は約3割近く増やした。期中のEV生産台数は3万2千台とした。

 メアリー・バーラCEOは10~12月期以降の中期戦略について、生産車種を市場ニーズに合わせて柔軟に調整して供給力を高めると同時に、コスト構造の改革、インセンティブの管理を徹底して収益力を高めていくとした。その第1段階として、来年以降もコスト改革を徹底したフルサイズ・ピックアップトラックとSUVの新型車を順次投入する。

 24年までの固定費削減目標は20億㌦(約3千億円)に設定。北米で足元の販売が鈍化したEVについては当面、減産体制を敷き値崩れ防止を図りつつ、コスト削減手法を探る。EVの利益率については、25年にも1桁前半から半ばの確保を目指す。EBITマージン(利払・税引前利益ベースの売上高利益率)8~10%の維持では、EVの収益化が必須ともした。

 UAWとの交渉については「大半の人が時給40.39㌦、年収8万4千㌦になるだろう。歴史的な賃金増加だ」と見通しを示すとともに、人件費上昇を踏まえた上で利益が確保できる体質づくりが急務とした。