日本ガイシとリコーの合弁会社、NRパワーラボは9日、スタートアップのコラボゲートジャパン(三井正義社長、東京都渋谷)、サッソー(石橋秀一社長、東京都目黒区)の2社と連携し、分散型IDを活用して低コストで高いセキュリティを実現する独自の仮想発電所(VPP)システムの構築を始めたと発表した。
分散型IDをエネルギーリソースの信頼性担保に用いるのは世界初という。2025年度の事業化を目指し、今年度内にシステムを構築、24年度から北海道と関東で実証する。実証にはIHIや北海道電力など8社が参画し、多様なエネルギーリソースの確保や制御方法の検証、経済性評価などを行う。
VPPでは、再生可能エネルギーの発電や蓄電池への充放電、施設や家庭の空調や照明の電力消費など、多様なエネルギーリソースをデジタル技術で統合制御し、1つの大きな発電所のように機能させることができ、天候に左右されやすい再エネの導入拡大につながるとされる。分散型IDはブロックチェーン(分散型台帳)技術などを活用して個人や法人、機器が主体となってIDを管理する技術。
システム構築にあたっては、コラボゲートジャパンの分散型IDプラットフォームやサッソーの人工知能(AI)技術、日本ガイシの蓄電池制御技術、リコーのデジタル技術などを融合させる。消費電力や発電量を予測して、収益が最大となるよう多様なエネルギーリソースをAIで最適制御するほか、分散型IDにより個々のエネルギーリソースのデータを正確に把握する。NRパワーラボの中西祐一社長は「地域新電力などともコラボレーションし、日本の再生可能エネルギーの導入拡大に貢献したい」と語った。