マツダスピードはル・マン24時間レースにも参戦した

 マツダは、モータースポーツ事業やマツダ車のファンを増やすマーケティング事業に特化した新会社を約20年ぶりに立ち上げる。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の進展でこれまで築いた各社のイメージが通用しにくくなる中、改めて自動車関連事業の方向性をそろえ、マツダが目指すブランドイメージを訴えるのが狙いだ。毛籠勝弘社長は「車好きのための会社でありたい。走る歓びを感じてもらえる顧客体験を提供していく」と語った。

 新会社の社名や規模、具体的な事業内容はこれから詰める。現在、マツダが取り組んでいる一般参加型を含めたモータースポーツ事業や、系列販社と連携した安全啓発活動、モータースポーツ部品や自動車用品の開発・販売などが主軸になりそうだ。

 こうした事業体は、トヨタ自動車がカンパニー制度の下で「トヨタガズーレーシング」や子会社「トヨタカスタマイジング&ディベロップメント」(TCD、稲垣和也社長、横浜市港北区)、日産自動車も「日産モータースポーツ&カスタマイズ」(片桐隆夫社長、神奈川県茅ヶ崎市)などを持つ。マツダも過去に販社が母体の「マツダスピード」があったが、1999年にマツダ本体に吸収する形で法人組織は解散し、その後、ブランドも消滅した。

 新会社は、モータースポーツ事業に特化した会社ではないが、24年ぶりにモータースポーツや用品類の開発・販売、ブランディングなどを手がける子会社になる見通し。22年にマツダが始めた「倶楽部マツダスピリットレーシング」では、eスポーツのプレーヤーを実際のレースに参加してもらう取り組みや、クルマ好き同士をつなげるコミュニティーづくり、オリジナル用品の開発・販売などを手がける。現在は、社内各部門の従業員が兼務でこうした活動に従事しているが、法人化することでマツダが目指す方向性を明確にし、こうした活動を加速させる。

 中堅メーカーのマツダは、これまでも「ブランド価値経営」を意識し、「スカイアクティブ」(パワートレイン)や「マツダ・プロアクティブ・セーフティ」(予防安全装置)、「魂動デザイン」などとして市場に発信してきた。ただ、例えば電気自動車(EV)シフトが進む中国市場で「『エンジンのホンダ』のイメージが強く、それが弱点にもなっている」(ホンダの井上勝史執行役専務)など、自動車各社は、これまで築いてきたブランド力を見直す必要にも迫られている。