トヨタ紡織は、新型コロナウイルスがまん延する中、早期に日常生活を取り戻す一助となるよう、2022年10月、タクシー向け飛沫防止パーティション「vi:ease(ビーズ)」を発売した。これからのニューノーマル(日常的な)製品となることを念頭に意匠形状や機能などを盛り込み、短期間での製品化を実現している。

 20年5月に開発を開始した。タクシー事業者の協力を得て、必要な課題を見極めながら実証を重ね、21年9月に先行販売にこぎ着けている。

 ビーズは、車内で運転席とそれ以外の席を仕切る後付け可能なパーティション。同社がフィルターやシート、内装で培った技術とノウハウを活用し、仕切る機能と空気清浄機能を融合しているのが特徴だ。

 ドライバーを包み込むような3次元曲面形状で、後席からの飛沫の飛散を防ぐ。これに加え、フィルター付き送風ファンで運転席にクリーンな空気を供給するとともに、本体の形状を利用してファンからの風の流れを制御して空気の壁を形成、飛沫の付着リスクを軽減している。

 また、本体に透明なポリカーボネートを使用することで、運転に必要な視界を確保。リクライニングや前後スライドなど、シート機能を阻害しない仕組みも取り入れた。乗客とのやり取りに支障が出にくい形状にもなっており、運転時、休憩時ともに、ドライバーへの負担を抑えている。

 先行試験販売を開始してからは、タクシー事業者を中心に、コミュニティーバスや医療関係者などからも引き合いがあり、当初の計画を上回る販売数となっている。

(次回は6月23日付、応募受付順に掲載します)