一般財団法人 自動車検査登録情報協会(自検協、加藤和夫理事長)は国土交通省(国交省)が推進する「自動車保有関係手続のワンストップサービス」(OSS)の利用促進を目指して「スマート継続OSSシステム」を開発した。初期費用0円で導入できる手軽さと、簡単操作の「指定整備記録簿」や手入力なしで「電子保安基準適合証」を作成できることから、現在はディーラー・専業の指定工場約5千事業場が利用している。業務効率化や検査員の作業負担軽減などにもつながるメリットを訴求し、システム利用率の拡大と継続OSS申請の普及を目指す。

 スマート継続OSSシステムの利用料は電子保適証が1件31円(税込)、記録簿が1件33円(税込)で、導入費用や月額基本料金などはかからない。専用機器は不要で、インターネット接続が可能なパソコンやタブレットがあれば利用することができる。また、記録簿はA3サイズ対応の一般的なプリンターで印刷することも可能だ。

―国交省のデータ引用で正確な記録簿を作成
 記録簿作成機能はQRコードから情報を読み取り、正確な国交省車検証データの取得や記録簿の様式が自動選択される。主に画面タッチやパターン選択で作業を進行。入力された内容はシステムが合否判定や入力漏れのチェックを行う。また、システムと連携可能な検査機器から合格結果を取り込んで入力作業自体を削減することもできるため、不正車検を未然に防ぐ等、指定整備業務の適正化に有効だ。記録簿の情報はシステムが保存しており、必要なときに呼び出せるなど、利便性も高い。出力と編集制御機能があるのでコンプライアンス強化にも一役買う。

―新旧自賠責データが自動で取り込まれる
 記録簿の情報は電子保適証と連携。国交省の車検証データと自検協の新旧の自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)データを取り込むので、短時間かつ手入力なしで正確な電子保適証を作成することができる。記録簿と電子保適証の完成後は、システムが自動でOSS申請情報を作成して申請代理人に送信する機能もある。(※継続OSS申請サービス利用時は電子保適証サービスとOSS申請共同利用システムへの申し込みが必要)

―作業負担軽減、ミス防止で働き方改革にも
 慢性的に人材が不足している自動車整備業界では、業務の効率化と作業負担軽減が必要不可欠だ。システムを導入することで検査員が手書きで記録簿や電子保適証を作成する手間を省くことができる。また、国交省の車検証データや新旧自賠責保険データを取り込むため正確性もアップ。

―デジタル化への対応は必要不可欠!今のうちから準備を
 作業負担は削減しながら、人的ミスを防止し、効率的な業務体制を作ることが可能となる。1台当たりにかける時間が少なくなれば、入庫台数の増加も見込める。2023年1月から電子車検証の交付がスタートしたほか、24年にはOBD検査も始まるなど、自動車整備業界にもデジタル化の波が押し寄せている。加えて、働き方改革が推進されていることもあり、就労環境は採用活動にも大きく影響する。低コストで始められるスマート継続OSSシステムを導入することで、効率的に正確性の高い記録簿と電子保適証を作成できる環境を整えてデジタル化と働き方改革を推進することが可能だ。

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