陸軍「九二式重爆撃機」完成の記念撮影とみられる。翼長44m、全長23m、乗員10人、搭載爆弾最大5000kg、最大速度200km/h、航続距離2000km、総重量25000kgという巨体機の前に100人以上の関係者が並ぶ。この中に安達堅造がいるか、あるいは撮影を見ていたか

「俺たちは20年遅れている」-。日本の若手航空設計者が、ふてくされたように吐き捨てる。この言葉はアニメ映画「風立ちぬ」に登場し、欧米と日本の技術格差を示す。あの時代に安達堅造は陸軍航空中佐で、さらに民間に転じて民間航空事業家と称していた。冒頭のセリフには続きがある。「20年の差を5年で追いつく…、いつか追い越してやる」と日本の航空機は飛躍を目指し…