「グリーンアルミニウム」の将来的な適用部品

 ヤマハ発動機は2日、二輪車製造に使う原材料を、リサイクル材や製造時に再生可能エネルギーを活用した「サステイナビリティ原材料」に切り替えていく方針を発表した。樹脂は、二酸化炭素(CO2)排出のより少ない原材料や植物由来に、鉄やアルミはリサイクル材や再エネ由来電力で製造する素材にする。まず「グリーンアルミニウム」を2024年モデル以降の大型車や競技用二輪車に「マスバランス方式」で採用し始め、将来的には同社製の車両全体へ適用する。

 二輪車でのグリーンアルミ採用は国内で初めて。アルミは製錬時に電力を大量に消費するためCO2排出量が多い。再エネ電力を使用したアルミで、調達を含めたCO2排出量削減につなげる。

 今回のグリーンアルミは、リサイクルアルミ材が使えない、耐久性や強度が求められる部品に使用する。グリーンアルミを採用するのは「MT―09 SP」と「YZ450F」の2車種。同社の場合、二輪車のアルミ部品使用率は大型二輪で29%程度、競技用では31%程度という。グリーンアルミは使用比率の高い車種から展開する考え。

 「MT―09SP」では、ホイール用の鋳造材、リアアーム展伸材、アンダーブラケット用鋳造材に、「YZ450F」ではメインフレームとリアフレーム、フートブラケットそれぞれの展伸材に採用する。グリーンアルミは海外から調達する。

 リサイクルアルミ材の採用も進めている。同社では、22年の国内外の主要工場での原材料使用におけるリサイクル材の比率は8割にまで達する。ただ、リサイクル材は耐久性や品質の観点から、全部品に適用することが難しい。

 グリーンアルミは、火力発電を用いたアルミよりもコストが割高だが、車両価格には上乗せせず、自助努力で吸収する考えだ。

 四輪車でもグリーンアルミの採用が進む。日産自動車は、グリーンアルミ原料を用いたアルミ材をミニバン「セレナ」や電気自動車(EV)「アリア」などのボンネットフードやドアなどに来春以降、採用する。BMWは、資源大手のリオティントと米国での自動車生産に使う低炭素アルミの供給で合意している。