ナオイオートの髙橋和正部長(右)とバリューアップ・ジャパンの樋口昭久代表理事(左)

地域ナンバーワンにこだわり、VCツール活用へ

 中小企業の持続的成長をマーケティング・ソリューションで支援するバリューアップ・ジャパン(VUJ、樋口昭久代表理事)。2015年からは戦略的な価値創造に向けて「TCS(トータルカーライフサポート)研究会」を立ち上げ〝量から質へ〟の実現に注力している。研究会に参加するナオイオート(直井清正社長、茨城県取手市)においても日本一や業界ナンバーワンではなく「地域ナンバーワン」にこだわり、「バリューチェーン(VC)ツール」の活用などにより地域住民・顧客との関係強化に乗り出している。
 茨城県内で新車・中古車の販売、車検整備、板金塗装、リース・レンタカー、保険、用品販売、リサイクルショップ・介護用品などを多角的に展開するナオイオート。顧客や地域のコミュニティの声に寄り添う存在であり続けるために、事業の多角化や感謝祭の実施、独自キャンペーンなど、顧客満足を高めるさまざまな施策を打ち出してきた。ただ、顧客の中には近所のナオイオートと隣の車検のコバックや鈑金のモドーリーの運営会社が同じであることを知らないケースもあったという。そこで導入したのが研究会が推進するVCツールだ。顧客の声に基づき同社では自社がどんなブランドを持ち、事業展開をしているのか、店舗やサービスの紹介などを余すところなく写真や短い説明文で表現する。「ナオイオートとしての総合力を結集した形がVCツール」と企画管理部の髙橋和正部長は力強く語る。

VCツールとSMS、コンタクトセンターを効果的に組み合わせ

 VCツールの配布方法も研究会と同社独自のノウハウを組み入れて行う。本部が候補リストを作成し、そのデータを元に営業スタッフがローンの満期客や車検未予約客、独自企画の無料点検対象者、ライフサイクルの変化などの機会から絞り込み、対象者にVCツールを送付する。その後、コンタクトセンターからTEL、営業推進課からSMS配信でアプローチする。SMSでは専用のランディングページ(LP)を作成し、スムーズに予約ができるようにした。また、昨年末は試験的に「あなたの(車種名)は(下取り価格もしくは残債)です」と送信。「一斉に同内容を送信していたときには反応がなかったお客さまから即反応がきた」という。髙橋部長は「VCツールからコンタクトセンター、SMSの流れがうまくまわり、顧客数、入庫台数が増加した」と効果を実感する。
 また、当初は電話コールもフロント担当者が行っていたが、専任者を配置し、コンタクトセンターを設けたことで、「役割が明確化され、トーク研修なども徹底的に行うようになった。結果として予約率が高まり、電話応対、接客応対のレベルもほめていただくことが増えた」という。  地域顧客との接点強化に向けて、10年には子どもたちの将来のために「ナオイの森」活動をスタート。昨年は新たに高齢者向け安全運転セミナーも開始した。直井社長は「大変多くのかたがたに満足いただいた。同時に、相互コミュニケーションの大切さを痛感し、より多くのかたの声をもっと聞かなければならないと感じた」と述べる。髙橋部長は「クルマを通じて、あらゆる層のかたがたと1対1で生涯のお付き合いができるようなアプローチをするための準備を進めている」とし、的確な顧客ニーズの収集とアプローチに向けてTCSとともに歩みを進める。