防塵防滴の信頼度も高く、ダンプ車などへの装着にも耐える(花魁ジャパン)
11月発売を予定する融雪機能付きテールランプ(小糸製作所)

 トラックの灯火類から業界課題に立ち向かう動きが広がっている。物流業界では人手不足や時間外労働時間の上限が厳格化する「2024年問題」への対応に迫られている。トラック事業者などでは業務効率化や労働時間の短縮など働き方改革を進める動きが目立つ。こうした中、灯火類のメーカーではテールランプやウインカーを耐久性の高いLEDに交換することで、運転手や運行管理者の負担軽減につなげる動きを加速させている。労務面とは異なるアプローチで24年問題の解決に挑むことで、灯火用品の販売増につなげる狙いだ。

 トラックの安全な運行のため、灯火類が正常に機能しているかは日々の運行前点検でも重要なポイントの一つとなっている。トラックなどのカスタム用品を手掛ける花魁ジャパン(鳥取市)の担当者によると、「LEDのリアコンビネーションランプやサイドマーカーなどへの交換需要が底堅い」という。一般的な白熱球タイプから、LEDに交換することで球切れを防ぐことができる。球切れによる交換の手間を減らせることから、「運行前点検などがスムーズにでき、労働時間短縮につながる」と効果を説明する。

 小糸製作所は、運転者の視認性向上に役立つ商品展開に力を入れている。この一つが「LED中間サイドターンシグナルランプ」だ。点灯時に側面が光るだけでなく、ストライプ状に路面を照らす設計となっている。これにより、夜間でも運転手が後方確認をしやすくなり、歩行者の巻き込み事故の削減に貢献している。 

 また、降雪地域では雪を巻き込みテールランプが見えない事態も発生しがちだ。このため、同社では融雪ヒーターを内蔵したLEDテールランプも今冬を目指して開発を進めているという。営業本部部品用品企画部金子広之部長は「トラック側の高度な運転支援技術に合わせて、灯火類もバージョンアップを進めている」と、灯火用品のさらなるバリエーション拡大に意欲をみせている。

 一方、運転者にとって魅力ある職場環境につながる可能性もある。運送事業者では人手確保につなげるため、運転手が担当するトラックのカスタマイズを自由化するところも多い。灯火類は容易に交換できると同時に、他のトラックと差別化しやすいポイントにもなっている。灯火類メーカーでは機能を高めるだけでなく、デザイン性も重視していくことにより、運転者に選ばれる製品づくりも意識している。