輸入車市場でCセグメントのハッチバック車が存在感を高めている。道幅が狭い日本の道路環境に適し、価格も手頃なこのクラスは長年フォルクスワーゲンの「ゴルフ」がけん引してきた。この牙城を崩そうと、競合勢も商品改良を通じて競争力を高め猛追している。ビー・エム・ダブリュー(BMWジャパン、クリスチャン・ヴィードマン社長、東京都港区)も14日に全面改良した「2シリーズアクティブツアラー」で、新規ユーザーの獲得に力を入れる計画。ボリュームが大きいCセグメントで競り勝てば、全体のシェア拡大にもつながるだけに、今後競争がさらに激化しそうだ。

 外国メーカー車では、直近1年ほどでアウディ「A3」やゴルフなどCセグメントハッチバックの全面改良が相次いだ。この中で、ゴルフは同クラスの〝ベンチマーク〟として、全面改良後も安定的な販売実績を積み上げている。こうした実態に対し、ライバル勢は足元で切り崩しに向けた動きを強めている。

 「プジョー」ブランドの「308」を今年4月に全面改良したステランティスジャパン(ポンタス・ヘグストロム社長、東京都港区)の担当者は、「打倒ゴルフを狙う」との意気込みを見せる。BMWジャパンのヴィードマン社長も、全面改良した2シリーズで「新規顧客を大いに取り込む」と、競合他社との激しい販売競争に挑む考えだ。各社はCセグメント車の主なターゲットである若年ファミリー層を誘引し、新規ユーザーの獲得や顧客層の多様化を図っていく。子どもの独立を機にダウンサイズを模索するシニア層などの受け皿としても訴求したい考えだ。

 また、外国メーカー車全体で車両の高額化や大型化が進む中、インポーター各社は輸入車を初めて購入するユーザーの現実的な選択肢として、Cセグメントなどのコンパクト車を位置付けている。BMWジャパンのヴィードマン社長も「(2シリーズアクティブツアラーは)女性ユーザーの比率がBMW車全体の約2倍に上る」と、新たな顧客層を開拓する重要度が大きいとみている。実際、2シリーズの初代モデルでは若年ファミリー層がけん引し、投入翌年の15年から4年連続で外国メーカー車モデル別販売台数のトップ10に入るなど実績をあげた。新型でもこの再来を期す。

 同社では「30歳代後半から40歳代前半のファミリー層を改めて掘り起こす」(遠藤克之輔BMWブランド・マネジメント・ディビジョン本部長)方針だ。近年は若年層をはじめとする新規顧客の受け皿としてSUVが存在感を高めているが、取り回しの良さや価格などの競争力はCセグメントのコンパクト車に分があり、十分に販売を伸ばせるとみている。

 全面改良などを起爆剤に「新規顧客の取り込みと先代モデルユーザーの代替を促していく」(同)思惑は各ブランドで一致している。将来的に上級モデルへの代替も見込みやすい若年層を、保有母体として確立したい考えも共通だ。同じCセグメントハッチバックではトヨタ自動車の「カローラ」シリーズやホンダ「シビック」など日本メーカー車もひしめいており、顧客争奪に向けた競争はさらに活発化しそうだ。