国産初のRVC
峯松育弥事業部長(左)と岡元裕則EMC・安全技術グループEMC第二チームチームリーダー(右)

 日本の主要電機・部品メーカーなどが組織する一般社団法人KEC関西電子工業振興センター(宮部義幸会長、京都府精華町)は、昨年に創立60周年を迎え、EMC(電磁的両立性)試験サービスを強化している。2020年9月、本部隣接地の「けいはんな試験センターE2棟」に「リバブレーションチャンバー(RVC)」を導入し、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)により需要が増加する車載電子機器の試験受託に対応している。
 RVCは共振現象を利用し、撹拌機(スターラー)を回転させて電磁波を試験体に360度の全方位から照射することができる施設で、同施設を導入したことで、より実環境に近い電磁波耐性試験が可能となった。欧米の自動車メーカーでは同試験を採用し始めており、同センター試験事業部の峯松育弥事業部長は「今後は国内でも車両の急速な電動化に伴い同試験の採用が増加する」と見ている。
 海外製のRVCを導入するEMC試験受託サービス機関が多い中、同センターでは国産としては初となるTDK製のRVCを一昨年9月に導入し、昨年10月に稼働した。同センターは測定結果の分析や試験の方法、装置の性能などの改善のための意思疎通を目的に、18年からTDKと共同で装置の開発・設計に取り組んできた。昨年11月にはオンラインの見学会を開催するなど最新の試験サービス体制の訴求を図っている。
 同センターでは今後、RVCを用いた電磁波耐性試験を重ねることで、試験方法の改善や技術の向上などを図り、国産の自動車メーカーの同試験の本格的な採用に対応する狙いだ。また、同センターの産官学連携の各種専門研究委員会などで開催するセミナーやフォーラムを通じて、試験で得られた知見や情報を自動車業界などに提供する。

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